五島に食材加工拠点「素」設立 東京の「Ts&8」

新たに整備した施設で作業に当たる従業員ら=五島市福江町

 東京都内で飲食事業を展開する「Ts&8」(ティーズ・アンド・エイト、東京)が今月、五島市の農水産物を自社店舗用に加工、発送する拠点施設「素(そ)」を同市に設立した。現地で新鮮な食材を調達できるメリットに加え、一括して下処理などを行うことで効率化し、都内で深刻な人手不足にも対応。今後は国内外での店舗拡大や、他社への加工品の提供なども目指す。
 同社は来月、都内で営む和食店「楚々(そそ)」を五島の肉や魚、野菜をメインに使う店としてリニューアルオープンする予定。また、人気のそうめん専門店「そそそ」は来年6月に2店舗目を都内で出店し、海外展開も視野に入れている。
 複数店舗の食材の調理を集中的に担う施設は「セントラルキッチン」と呼ばれ、コスト削減や味の均一化などが可能になる。
 「素」は国境離島新法の雇用拡充事業として補助を受け、同市福江町にある県の施設を改修して整備。あごだしつゆやカット野菜などを調理し、都内の自社店舗に発送する。一定の輸送費はかかるが、同社の安藤成子副社長は「都内にセントラルキッチンを設けたり各店舗で仕込みをしたりするよりも、賃貸料や人件費を考えれば、トータルで経費を低く抑えられる」と話す。
 既に市内で正社員2人を雇用し、今後も事業拡大に伴いパート従業員などを増やす考え。安藤副社長は「来年度をめどに、地元企業と連携し、五島の食材を使った新たな土産品の開発にも取り組みたい」としている。

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