憲法にのっとり象徴としての務めを果たすと陛下

 「即位礼正殿の儀」が22日、安倍政権の下、国事行為として催行された。天皇陛下は「日本国憲法、皇室典範特例法の定めるところにより皇位を継承した」と内外に宣明。「国民の幸せと世界の平和を常に願い、国民に寄り添いながら、憲法にのっとり、日本国及び日本国民統合の象徴としての務めを果たすことを誓います」と述べられた。

 また「国民の叡智とたゆみない努力によって、我が国が一層の発展を遂げ、国際社会の友好と平和、人類の福祉と繁栄に寄与することを切に希望いたします」と宣明された。

 安倍晋三総理は「国民に寄り添いながら、日本国憲法にのっとり、象徴としての責務を果たされるとのお考えと、わが国が一層発展し、国際社会の友好と平和、人類の福祉と繁栄に寄与することを願われるお気持ちを伺い、深く感銘を受けるとともに、敬愛の念を今一度新たにいたしました。私たち国民一同は天皇陛下を日本国および日本国民統合の象徴と仰ぐ」と祝辞を述べた。

 国民からは憲法に基づいた「象徴天皇」としての即位に祝意が示される一方、即位宣言の言葉が「高御座(たかみくら)」と呼ばれる総理立ち位置より高いところから述べられ、総理が下方から「寿詞(よごと)」と呼ばれる祝辞を述べ、陛下を見上げ、万歳三唱したことには主権在民に反するのではないかと違和感を持つ声もあった。

 日本共産党は機関紙赤旗電子版で「天皇即位の礼関係の諸儀式は国民主権原理と政教分離の原則に抵触する問題がある」と提起した。「神話にもとづいてつくられた、神によって天皇の地位が与えられたことを示す高御座という玉座から、国民を見下ろすようにして『おことば』をのべ、『国民の代表』である内閣総理大臣が天皇を仰ぎ見るようにして寿詞(よごと=臣下が天皇に奏上する祝賀の言葉)をのべ、万歳三唱するという形態自体が『主権者はだれか』という深刻な疑念を呼ぶ」と指摘した。

天皇の代替わりを巡っては、政府は「即位礼正殿の儀」に合わせ、同日、罰金刑により資格制限を受けている人のうち、罰金納付から3年以上経過した人に対し資格制限を取り除く「復権」の恩赦を実施した。対象は約55万人になるとみられている。恩赦の実施は天皇皇后両陛下結婚の平成5年以来26年ぶり。天皇の権威付けや政治利用につながらないか、恩赦の実施にも疑問の声が上がっている。(編集担当:森高龍二)

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