メジャー・デビュー15年目にして初となるオールタイム・ベスト。ほぼ発売順に収録された3枚は、とても1アーティストとは思えないほど様変わりしている。
Disc-1は、可愛らしいテクノサウンドが中心で、定番の『チョコレイト・ディスコ』や『ポリリズム』など、歌声も無邪気で楽しい。
これがDisc-2になると、ドラマやCMのタイアップを意識してか、恋愛や日々の葛藤を歌詞に盛り込み、印象的なメロディーがあるという、ヒット系J-POPのオンパレードだ。『I still love U』や『MY COLOR』などオリジナル・アルバムの楽曲もシングル曲っぽい。
さらにDisc-3は、海外を意識した前衛的なダンス・ミュージックが占めるようになる。具体的には、ワンフレーズが延々と繰り返されたり、間奏部分が長かったり、LIVE映像やミュージック・ビデオ無しで聴くと、ともすると単調だと誤解するかもしれない。
しかし、歌詞に耳を傾けると、「遥かなユニバース」を目指す『STAR TRAIN』や、「恋ともぜんぜん違うエモーション」を抱く『FLASH』、さらには「平凡を許してくれない水槽」でもサバイブする『TOKYO GIRL』など、より強いメッセージが増え、キレの良い歌声も相まって、まさしく世界で闘うアスリートのようだ。あらためて15年間の成長とたゆまぬ努力を思い知った。
本作を聴けば、変わりゆく自分を肯定し、日常をより前向きに捉えられるようになれるはず。
(ユニバーサル・3CD通常盤 3241円+税)=臼井孝