陛下は晴れ男?

 1面のトップは「きょう開幕」。だが、同じ日の社会面には「…対策奔走」「あす最接近」と不安な見出しが躍っていた。翌日のこの欄には率直な安堵(あんど)の思いが記されている。「とにかく、やれてよかった」▲5年前の10月、現在の上皇ご夫妻をお迎えして諫早市で開かれた「長崎がんばらんば国体」の開会式。「大型で強い台風」の接近で強い風が吹き、時折雨も落ちたが、式典は滞りなく進んだ▲〈台風の近づきて来る競技場/入り来たる選手の姿たのもし〉-アスリートたちの行進を温かく見守られた上皇陛下の御製碑が県立総合運動公園に立っている▲「あの時のことを思い出しましたよ」。5年前のその日、古巣の写真部に応援で駆り出され、ファインダー越しにご夫妻の表情を追った同僚が昨日の夕方、こんなふうに話し掛けてきた▲午前中、強い雨が続いた昨日の東京。「即位礼正殿の儀」も雨天バージョンの配置で行われた。ところが式典の時間が近づくと雨がぴたりとやみ、皇居の上空は青空、東京スカイツリーの向こうに虹が架かったのはご存じの通り▲「エンペラーウェザー」なる言葉をネットで見つけた。「代が替わっても天皇陛下って『晴れ男』なのかもしれませんね」-お出掛けも多いお役目だ。同僚の“推測”が的中しているといい。(智)

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