野菜ふんだん、ご当地鍋定食が人気 障害者が食材栽培「農福連携」

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さんさん山城で提供しているランチ(京田辺市興戸)

 京都府京田辺市興戸の障害者就労支援事業所「さんさん山城」が、2009年の開所から10年を迎えた。障害者が野菜を作り、加工する「農福連携」の取り組みは拡大を続けており、カフェで提供している500円ランチは連日完売。まもなく2万食を数える。持続可能な開発目標(SDGs)をテーマにした国際会議に招かれるなど、世界から注目が集まっている。

 府が推進する農福連携の南サテライト拠点に認定されているさんさん山城。聴覚障害者など33人が利用しており、えびいも、田辺ナス、宇治抹茶、タカノツメなど地域特産品の生産や加工を手掛けている。
 管理者の藤永実さんは、事業所がこれまで10年間、「新しいことに取り組み続ける」ことにこだわってきたと明かす。
 イベントに出店して商品を売るだけでは限界がある。「逆に、お客さんに来てもらおう」と考え、2年前にカフェを開設。田辺ナスの素揚げにたれを絡めた「田辺ナス丼」や、ねっとりしたえびいもの食感がくせになる「えびいもコロッケ定食」など、事業所で生産した野菜をふんだんに食べられるランチを出すと人気を集めた。リピーターも多く、1日80食出ることもある。
 月に1度の割合でメニューに登場するのは「京た鍋定食」。市観光協会の依頼を受けて事業所が開発したご当地鍋だ。えびいもや地元産のみそを使った汁に、えびいもとズイキの唐揚げを添えており、ここでしか食べられない一品。市観光協会のモニターツアーで昼食に提供されるなど、市の魅力発信にも一役買っている。
 調理を担当する長谷川愛子さん(70)は「家にいるよりここにいる方が、忙しいけど楽しい。生きがいにつながる」と笑顔を見せる。ランチの売り上げが好調で、ボーナスも出るようになったという。
 6月には韓国で開かれた「SDGs済州国際会議」に藤永さんや利用者らが参加し、取り組みを発表した。国内外からの視察も多く、「みんなが生き生きと働いている」(藤永さん)という。
 現在、事業所が挑戦するのは、生産物のブランド化だ。農福連携で作られた食品の品質や安全性を証明する新しい日本農林規格(ノウフクJAS)の取得を目指している。
 藤永さんは「自分たちでいいものを生産し、売る流れをつくりたい。共生社会の一端を担う場所になれるよう、これからも挑戦を続ける」と話す。