LGBTは家が借りられない?

差別解消に乗り出した不動産会社

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作成したパンフレットを手に説明する長谷川大悟部長=札幌市

 「大家さんには友達と住むとうそをついてくださいね」―。ある女性同士のカップルが、東京都の不動産会社で家探しをした際に言われた言葉だ。レズビアンやゲイ、トランスジェンダーなどの性的少数者(LGBT)は、家探しでも差別を受けることがある。この現状をなんとかできないか。札幌市の会社が支援に乗り出した。

 「同性同士で部屋を借りるのは難しいと言われたことがあります」

 「私はトランスジェンダーです。女性専用のマンションに入居することはできますか?」

 LGBTの入居希望者向けに作成されたパンフレットに、さまざまな悩みや疑問が並ぶ。

 作成したのは「アパマンショップ」7店を展開する札幌市の不動産会社「NCK」。不安を和らげようと「同性カップルでの入居を理解するオーナーもいて、ご紹介可能な物件も増えてきています」などと一つ一つ回答していく。

 白戸裕之(しらと・ひろゆき)社長(55)は「人権侵害や差別が国際的に問題になっている中、国内では不動産賃貸業で特に差別が強い」と感じていた。実際、同社でも「同性カップルの入居時に、『2人で住むことは内緒にしてほしい』と声を掛けたこともあった」と明かす。

 「不動産賃貸の差別をなくし、LGBTの人たちが安心して家を借りられるようにしたい」。本格的に支援の取り組みを始めたのは、2017年6月に、札幌市がLGBTのカップルをパートナーとして認証する制度をスタートさせたことがきっかけだった。

 パンフレット作成に加え、「貸し手と借り手のマッチングが仕事だ」と、社員があらかじめ大家を訪問し、LGBTの入居に理解を得て約6千室分を確保。社員はLGBTへの理解を広めるイベントなどに出席し、勉強も重ねている。

 また、社内の規定を変更し、LGBTへの差別を禁止したほか、同性パートナーを持つ社員が祝い金や手当を受けることができるようにした。

 LGBTが働きやすい職場づくりを市が認定する「フレンドリー企業」に登録された店舗もある。

 取り組みの成果はどうか。長谷川大悟(はせがわ・だいご)部長(37)は「入居契約に結びついたケースがたくさんある」と喜ぶ。

 一方で「LGBTもそうじゃない人も同じ。友達2人で来た人と、同性カップルを分けるのは差別だ。いつか差別がなくなって、こういう取り組みも必要なくなれば良い」と話した。(共同通信=石嶋大裕)