茂ると大変! 駆除に奔走 外来植物セイタカアワダチソウ 上市の稲葉さん 

農地に生い茂るセイタカアワダチソウ。「広域的な駆除が必要」と話す稲葉さん

 外来植物のセイタカアワダチソウの繁殖を防ごうと、上市町中開発の農家、稲葉栄一さん(80)は、ボランティアで地元の相ノ木地区で駆除に取り組んでいる。遊休農地で生い茂ると耕作放棄地になる恐れがあり、町農業委員会が取り組みに協力している。稲葉さんは「地区だけの駆除には限界があり、県内で広域的に対策を進める必要がある」と話している。 (立山・上市支局長 井波光雄)

 セイタカアワダチソウはキク科の多年草で、秋に黄色い花を咲かせる。北米原産で約120年前に観賞用として輸入され、国内で広がった。地下茎とタンポポのように綿毛をつけた種が風で飛ばされ分布域が拡大する。高さ約2.5メートルまで成長し、地面を埋め尽くすように広がる。

 セイタカアワダチソウが遊休農地にいったん生い茂ると地下茎で広がるため、駆除に手間が掛かり、耕作放棄地となってしまう恐れがある。背が高く日光を遮り、ススキやヨモギなどの日本固有の在来種を追いやるなど生態系への影響も懸念されており、環境省の生態系被害防止外来種リストに掲載されている。

 元県立高校教員の稲葉さんは、農地やあぜ道などで繁殖する姿に危機感を抱き、昨年は上市町農業委員会と連携し、相ノ木地区の遊休農地2ヘクタールで除去した。

 稲葉さんは、セイタカアワダチソウが繁殖する農地の所有者に対して、農業委員会を通して駆除を求めている。所有者が高齢などのため、自分で取り除くことが困難な場合は稲葉さんがボランティアでトラクターで取り除く。

 今年も町農業委員の中川治さん(上市町中青出)と協力して除去を進めている。稲葉さんは「セイタカアワダチソウは種がつく前に粘り強く取り除かなければならない。他の地区や県内各地で駆除の取り組みが広がってほしい」と話した。

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