変わり続ける大村 園田市政2期目スタート・上 地域経済活性化 事業者の悩み 解決を

にぎわいの創出が進められてきた中心市街地のアーケード。一定の効果はあったものの、空き店舗などが目立つ=大村市本町

 任期満了に伴う大村市長選は、現職の園田裕史氏(42)が無投票で再選を果たした。県立・市立一体型図書館「ミライon図書館」の完成や2022年度暫定開業予定の九州新幹線長崎ルートの開通など、県央の中核都市の姿は大きく変わりつつある。2期目への園田市政の課題を追った。

 「地域密着型の商店街として頑張ろうとしたんだけどね」-。大村市のJR竹松駅近くの竹松商店街。竹松商業協同組合の井手要代表理事(65)は、寂しげにつぶやいた。同組合は今月いっぱいで顧客サービスのポイントカード事業をやめ、年度内に解散することが決まっている。
 半世紀以上の歴史があり、地域のイベントにも積極的に関わってきた同組合。だが、大型店の進出や後継者不足など時代の荒波にはあらがえず、最盛期に50店舗近くあった加盟店は現在、11店舗にまで減った。「仕入れ額では大型・中型店に個人店で太刀打ちできないし、車社会の大村では商店街を歩き回って買い物をするスタイルでもなくなった」。商店街で小売店を経営していた井手代表理事は厳しい表情を見せる。
 消費者ニーズも多様化する中、人口増加都市の大村にあっても、多くの商店街は活路を見いだそうと模索を続けている。それは、JR大村駅前一帯の中心市街地にある中央商店街アーケードも例外ではない。
 市などはかねて、同アーケードを商業施設「コレモおおむら」や市民交流プラザなどと一体的にとらえ、官民でにぎわい創出に取り組んできた。アーケード各店でつくる市中央商店会の松下眞吾会長(63)は「通行する人は少しずつ増えている」と、一定の手応えを口にするが、アーケードにはいまだに空き店舗などが目立ち、道半ばの状況。近くには今月、県立・市立一体型図書館「ミライon図書館」がオープンした。同商店会はこれをチャンスと捉え、マップの作製や案内板の設置など、消費者の回遊性アップに向けた取り組みに懸命だ。
 地元企業の支援に関し、園田裕史市長は就任以来、中小企業の経営改善や新規創業を支援する産業支援センター、市内企業紹介サイトの開設などを進め、市内の事業所数は「過去最高になった」(園田市長)。一方で、園田市長が掲げた2期目の公約には、企業誘致や工業団地の早期完売などは記されているものの、地元事業者の後継者問題や商店街活性化策への具体的な言及はない。
 人口増の半面、他自治体と同様、若い世代の多くは高校卒業後、進学や就職で市外へ流出している。若い世代の定着や地域コミュニティーの維持を図る上でも地元事業者の活性化は不可欠だ。「外から人や企業を呼ぶだけでは地域にお金は循環しにくい。私たちのような地元事業者にもしっかり目を向けてほしい」。松下会長は、2期目の園田市政にこう注文する。

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