6度目のF1タイトルに王手のハミルトン、最難関メキシコでの決着に期待せず「フェラーリを倒すのは相当難しい」

 現在F1ドライバーズ選手権で首位に立つメルセデスのルイス・ハミルトンと代表のトト・ウォルフは、10月25日に開幕する第18戦メキシコGP戦がチームにとって厳しいレースになると考えている。

 メルセデスは第17戦日本GPでコンストラクターズタイトル争いを制し、6年連続となるチャンピオンの座に就いた。次のメキシコGPではハミルトンがドライバーズタイトルを獲得する可能性がある。数字上、ハミルトンの6度目の世界王座制覇に対抗できる唯一のドライバーは、64ポイント差で彼を追うチームメイトのバルテリ・ボッタスだけだ。

 ハミルトンがボッタスとの差を78ポイント以上に広げれば戴冠が決まるため、今週末のメキシコGPはドライバーズタイトルが確定する可能性を秘めている。

 しかし、ハミルトンは日曜日の決勝レース終了後に勝利のシャンパンを抜くことに関して、過度に期待はしていない。メキシコにおける近年のメルセデスの記録低迷は言うに及ばず、フェラーリとSF90がアウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスの直線で見せるスピードが、ハミルトンの優勝にとって脅威だと認識しているからだ。

「メキシコGPは、僕らにとってシーズンのなかで最低なレースになることが多い。僕たちのマシンの特性からくるものだが、今年も厳しい戦いになるだろう」とハミルトンは語った。

「ここでタイトルを獲得した年もあったとはいえ、過去数年のレースは、かなりひどいものだった」

「今年のレースウイークでは善戦できることを願っている。だけど、あの長いストレートでフェラーリを倒すのは相当難しいだろうね」

「あの長いストレートをうまく切り抜けられるとはまったく考えていない。それははっきりしている。それに他のチームを見ても、マクラーレンも直線でのスピードが相当上がってきているし、レッドブルも同様だ。次戦は激しい戦いになると思う」

「タイトルをメキシコで決められるとは思っていないよ。競り合いはまだ何戦も続くだろうね」

ルイス・ハミルトン(メルセデス)は昨年このメキシコGPを4位で終え、5度目のドライバーズタイトルを獲得した。

 メルセデスにとって6年連続となるコンストラクターズタイトル獲得を祝ってから約10日が経ったが、ウォルフは次戦に向けて取り組んでいくなかで、何かの保証を得たわけではない、と考えている。

 ウォルフは、メキシコシティに特有の課題がチームの作業を狂わせかねないことを、嫌というほど承知している。

「この先の勝利に向けて何かの特権を握っているなどとは、チームの誰も思っていない。だからこそ我々は日本GPが終わって早々に、次戦の準備に向けた通常のルーティンに戻った」と、ウォルフはチームのプレビューで述べた。

「残る4レースが簡単ではないことは分かっているし、そのなかでもメキシコが最難関になるだろうと考えている」

「高地のコースでは、通常とはかなり異なる対応が求められる。空気密度の低さがマシンのダウンフォースや冷却、エンジンのパフォーマンスに影響するからだ」

「それらは、特に我々のマシンには適さない要件だが、とにかくダメージを最小限に留めるよう全力を尽くす」

「我々は次の戦いを、そしてレースへの愛情を分かち合えるメキシコの素晴らしいファンと会えることを、楽しみにしている。次のレースウイークをモータースポーツの華々しい祝典にするつもりだ」

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