中小製造業の未来考える 川崎信用金庫と産業振興財団、協定結びセミナー

参加者から多くの質問が飛んだキックオフセミナー =川崎市川崎区の川崎信用金庫本店

 川崎信用金庫と川崎市産業振興財団が「中小企業者等支援に関する協定書」を締結したことを受け、キックオフイベントのセミナーが23日、同信金本店(川崎市川崎区)で開催された。同財団主催のビジネスプランコンテストで「川崎起業家大賞」を受賞した「キャディ株式会社」(東京都台東区)を招き、中小製造業の新たな可能性を考えた。

 キャディは、多品種少量生産を中心とする金属加工業界向けに、受発注自動見積もりシステムを開発したベンチャー企業。伝統的な多重下請けの関係ではなく、それぞれ強みを持った加工会社がテクノロジーを介して発注者と結び付くフラットな産業構造の実現を目指している。

 中小製造業を中心に約50人が参加したセミナーでは、キャディの担当者が「ものづくり大国日本の可能性を信じて」と題してシステムや今後の展開について講演。「加工会社側に利益が出る仕組みをもう少し詳しく」といった具体的な質問が飛ぶなど、参加企業も興味深そうだった。

 同財団が民間の金融機関と協定を結ぶのは初めて。財団の三浦淳理事長は「これまでも財団と川崎信金は協力関係にあったが、協定を結ぶことで見える化し、さらに協力を強めていく。中小企業を巡る状況は厳しいが、川崎から地域を越えて広げていきたい」と意義を説明。キャディの担当者は「中小企業にネットワークを持つ財団と信金に紹介していただくことで、より効率的に企業支援を進めていける」と話した。

 川崎信金の堤和也理事長は質疑応答の席で、台風19号で市内の多くの中小企業が被災したことに触れ「中小企業にとって、一日でも操業できないことは大変な事態。何日も続けば経営に影響も出る」と憂慮した。

 同信金は、被災者向けの低金利個人融資や法人からの相談などを受け付けている。堤理事長は「産業振興財団、川崎市などと一刻も早く地域を元気にできるよう話し合っている。“チーム川崎”で協力して支援態勢をつくっているので、どんどん相談してほしい」と呼び掛けた。

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