「どうやってできた?」紅葉の名所・震生湖 周知へ見学会開催 秦野

秦野市が初めて現地見学会を開く震生湖

 神奈川県秦野市は26日、紅葉の名所として知られる震生湖(秦野市、中井町)の現地見学会を初めて開く。研究者が、関東大震災で形成された湖の成り立ちや震災遺構としての特徴を解説。中井町と連携して取り組む国登録記念物の登録に向け、その価値を広く周知し、機運を醸成したい考えだ。

 市によると、震生湖は市町をまたぎ、面積は約1万3千平方メートル。1923(大正12)年9月、関東大震災の崖崩れで市木(いちき)沢がせき止められ、地下水がたまって造られた。紅葉の美しいスポットとしても有名だ。

 見学会では、一般財団法人「砂防フロンティア整備推進機構」で専門研究員を務める井上公夫さんが講師を務め、湖の成り立ちや特徴、文化財としての価値を紹介する。

 また震災で山道の崩落に巻き込まれ、行方不明になった南秦野尋常高等小学校(現市立南小)の女児2人のために建立された供養塔や、震災から7年後に東京帝国大地震研究所から現地調査に訪れた物理学者寺田寅彦の句碑、滑落して崖になった場所も見て回る。

 市は、決壊せずに現存する貴重な天然の湖で、地質学資源であることなどから、国登録記念物の登録を目指し、活動を始めることを決定。見学会はその取り組みの一環で、市生涯学習課は「観光地として知られる震生湖の文化財としての側面を知ってもらうのは新たな取り組み」と強調。「地質遺産としての重要性を知り、防災意識を高めることにもつながれば」と参加を呼び掛けている。

 参加無料。定員は先着50人で市内外を問わない。当日は午前9時までに白笹(しらささ)稲荷神社(同市今泉)に集合する。問い合わせは、同課電話0463(87)9581。

© 株式会社神奈川新聞社