【関東・甲信】観光ついでに楽しめる!スニーカーでも行ける湿原ハイク 関東・甲信には、気軽に楽しめる湿原が沢山あります。規模は小さくとも、どの湿原にも豊富な動植物が自生。普段はピークハントを一番の目的としている登山者も、たまには趣向を変えてそれらの動植物をのんびり愛でるハイキングはいかがでしょうか。また、山登りからしばらく離れている人、小さなお子様やご家族と山歩きデビューをしたい人など、本格的な登山をするには体力的に少し不安があるような人でも楽しめるルートばかり。アプローチが良いところばかりなので、観光ついでに訪れるのもおすすめです。

小さなお子さんも一緒に。家族で楽しめる「関東・甲信」の湿原をハイク!

最近、山に登ってますか?「以前までは頻繁に山に行ってたけど、子供が生まれてからはめっきり行かなくなったな…」など、様々なで山歩きから離れてしまっているという人、実は結構多いんじゃないでしょうか。そんな方には、まずはコンパクトな湿原歩きがおすすめ。ピークハントを目的とせずとも、アップダウンの少ない湿原であれば気軽にハイキングを楽しめます。家族サービスで旅行へ出かける際にも、半日程時間があれば楽しめるところばかり。これらの湿原歩きを皮切りに、家族みんなを巻き込んでハイキングの魅力に目覚めてみてはいかがでしょうか。今回は、関東・甲信地方でおすすめの湿原をご紹介します。

一面に広がるニッコウキスゲ/沼ッ原湿原(栃木県 那須塩原市)

昭和天皇に愛された地としても知られる沼ッ原湿原。那須岳への登山の起点ともなる沼ッ原湿原駐車場から湿原まで、片道15分程度の道を歩きます。湿原自体も一周30分程度と、全行程あわせても1時間程度。高低差も比較的少なく、コンパクトなので、老若男女問わず楽しめるでしょう。

沼ッ原湿原の見どころ

雪解けの時期にはザゼンソウなどの植物から姿を見せ始めます。しかし、何と言っても夏になると一面に広がるニッコウキスゲが見事。その中に点在するコバイケイソウも同時に見られ、豊富な高山植物を楽しめるでしょう。

神話の舞台で多様な景観を楽しむ/戦場ヶ原湿原(栃木県 日光市)

「男体山・赤城山のそれぞれの神の戦場だった」という神話に由来する「戦場ヶ原」。湿原内を南北に流れる湯川沿いには自然探求路が整備されています。アップダウンも比較的少なく、湯滝から赤沼まで南下するルートは2時間程度で気軽に歩くことが可能。350種類に及ぶ植物の他、野鳥の観察地としても有名です。

戦場ヶ原の見どころ

点在する滝や湖、男体山など、目まぐるしく変わる景観が何よりの見どころ。その他、多様な植物が自生しますが、中でもワタスゲが印象的。6月には白く揺れるかわいらしい姿を見ることができ、一面に広がるその姿は圧巻です。

”貴婦人”に会いに行こう/小田代ヶ原(栃木県 日光市)

奥日光の小田代ヶ原(おだしろがはら)は、すぐ東に位置する戦場ヶ原と同様ラムサール条約に登録され、貴重な湿地として保護されています。湿地から草原へと移行段階にある自然では多様な自然を観察することが出来ます。

木道や歩道、案内板もしっかりと整備されているため、初心者でも安心。赤沼から光徳へ周回するルートであれば、2時間ちょっとあれば楽しむことが出来ます。

小田代ヶ原の見どころ

夏は「ニッコウアザミ」や「ホザキシモツケ」などの植物が観察できるほか、秋にはミズナラや草本の紅葉が楽しめます。なかでも存在感を放つのが「小田代ヶ原の貴婦人」。ベンチが設置された展望台からその姿が望めます。草原の真ん中に佇む白樺は、どの季節に訪れてもフォトジェニックな姿を見せてくれるでしょう。

花のピークが読みやすい!/大江湿原(群馬県 桧枝岐村)

尾瀬ヶ原の東に位置する湿原で、比較的静かなハイキングを楽しめます。隣接する尾瀬沼のハイキングと組み合わせれば一日楽しめる充実のルートをとることも可能ですが、沼山峠から尾瀬沼ビジターセンターの往復ルートであれば、3時間程度で楽しむ事が可能。初心者にもおすすめの花の湿原です。

大江湿原の見どころ

湿原全体に広がるニッコウキスゲの群落が特に有名です。その他、尾瀬の代名詞であるミズバショウもハイカーの目を楽しませてくれるでしょう。尾瀬ヶ原よりも標高が高く、花の開花時期には1週間程度のずれがあります。このため、尾瀬ヶ原の花のピークを確かめた後の計画でも十分間に合うのもポイントです。

まるで尾瀬!/玉原湿原(群馬県 沼田市)

玉原(たんばら)センターハウスからの周遊コースであれば1時間程度で一周可能な、コンパクトな湿原。規模は小さいながらも「小尾瀬」と呼ばれ、尾瀬よりも一か月程度早く水芭蕉が楽しめます。雪解け(GW前後)から初秋(10月上旬)まで数多くの植物が咲き誇り、小さなお子様とも一緒に楽しめるハイキングコースです。

玉原湿原の見どころ

ミズバショウなどを湿原で楽しんだ後は、是非とも玉原高原にも足を運んでみてください。標高1,300m付近のブナ平では新緑から紅葉まで楽しめるのに加え、一面に広がるラベンダー畑も見ごたえ抜群です。

闇夜に浮かぶミズバショウ/越本水芭蕉の森(群馬県 片品村)

一周30分程度と、非常にコンパクトな湿原。15,000株もの水芭蕉を気軽に観察することが出来ます。最寄りの駐車場からも10分程度と近く、園内は木道が整備されてアップダウンもほとんどありません。このため、足腰に不安のある方やお年寄りでも楽しめるでしょう。

越本水芭蕉の森の見どころ

ミズバショウを観察できる湿原は数あれど、こちらではライトアップされた姿を見ることができるのが特徴です。ゴールデンウィークには日没から21時ごろまで実施。闇夜に浮かぶミズバショウを楽しめるのは非常に貴重です。

荒涼とした草津白根山とのコントラスト/芳ヶ平湿原(群馬県 中之条町)

草津白根山の山麓に位置し、草津温泉からも程近い芳ヶ平(よしがだいら)湿地群。活火山である白根山の荒涼とした景観とは対照的に、緑豊かな景観が一帯に広がります。その中でもポピュラーなのが、芳ヶ平湿原。国道最高地点(2172m)である渋峠からの往復ルートは、湿原の周遊(30分程度)も含め、3時間もあれば十分楽しめるでしょう。

芳ヶ平湿原の見どころ

コンパクトながら、約300種類の植物が自生。ワタスゲの群落が見事ですが、足元にはコケモモやツマトリソウ、ツガザクラなど小ぶりな花々も見られます。草津温泉への旅に組み込むのにちょうどいいボリュームのハイキングになるでしょう。

神奈川県唯一の湿原/仙石原湿原(神奈川県 箱根町)

仙石原湿原は神奈川県に残る唯一の湿原で、その一部が国の天然記念物に指定されています。とは言うものの、実は仙石原湿原内は立ち入り禁止。そこで、湿原の植生を再現したのが「箱根湿生花園」なのです。園内はゆっくり回って40分程度で楽しめ、展示室も併せて観覧することで、より深く湿原のことを知ることが出来るでしょう。

仙石原湿原の見どころ

再現された湿原であるものの、湿生植物など約200種類の植物がコンパクトな園内で見られるのが最大の魅力。「長時間のハイキングは苦手だけど、貴重なお花を楽しみたい!」という方にピッタリです。

また、仙石原のススキ原も有名。夕暮れ時に訪れれば、幻想的な景色が楽しめるでしょう。

日本を代表する高層湿原/八島湿原(長野県 諏訪市)

長野県のほぼ中央、霧ヶ峰高原の北西部に位置しています。冷涼な気候に起因して成立する、日本を代表する高層湿原です。観光道路であるビーナスライン沿いに位置し、ドライブやツーリングと合わせて訪れるのもおすすめ。ビジターセンターを起点に湿原の周囲を巡るルートはゆっくり歩いて1時間30分程度。ルート上にあるヒュッテ御射山でコーヒーを飲みながらゆっくりするのも良いかもしれません。

八島湿原の見どころ

ニッコウキスゲを目当てに訪れるハイカーが多いですが、その他の植物も多数自生。360種類を超える植物の中には、「キリガミネ」を冠したキリガミネスミレなどの植物もあります。散策前にビジターセンターで湿原の成立の歴史などを勉強しておくと、感動が深まってより楽しめるでしょう。

短いながらも変化に富んだ湿原/踊り場湿原(長野県 諏訪市)

八島湿原のすぐ近くに位置する湿原。湿原の東側にはアシクラの池があり、ここをくるむような形状からついた別名は「池のくるみ」。道路沿いの駐車場を起点に、湿原は1時間前後で一周できます。ルートは短いながらも、湿原、丘、草原など変化に富んでいます。丘の上からは車山や北八ヶ岳、中央アルプスなどが一望でき、高層湿原ならではの景観も楽しめるでしょう。

踊り場湿原の見どころ

何といっても、変化に富んだルートが見どころ。アシクラの池では谷地坊主(スゲ属植物からなる坊主頭状の株)が見られるほか、初夏にピークを迎えるレンゲツツジも必見。近くに滑空場があり、見上げれば空を舞うグライダーも見ることが出来るかもしれません。

一面に広がるワタスゲ群落/田ノ原湿原(長野県 山ノ内町)

志賀高原に位置する田ノ原湿原は、国道沿いにある小さな湿原です。蓮池から湿原を通って田ノ原バス停まで南下する自然探勝路でも1時間30分程度。湿原の植物だけでなく、蓮池の水生植物や、白樺の森に囲まれたハイキングが楽しめます。

田ノ原湿原の見どころ

初夏から夏にはレンゲツツジやニッコウキスゲ、秋には紅葉したナナカマドなど、季節によって様々な植物がハイカーの目を楽しませてくれます。特に、初夏に最盛期を迎え、湿原一面に広がるワタスゲは圧巻です。

印象的な景色との無数の出会い/上高地周辺の湿原(長野県 松本市)

言わずと知れた景勝地、上高地。河童橋越しに眺める穂高連峰は非常に有名ですが、実は周辺には気軽に散策できる湿原が広がっています。

上高地手前の「大正池バス停」で下車し、田代池や田代湿原を通って河童橋へ至るルートが1時間前後。河童橋から岳沢湿原までは20分前後で行けるので、田代湿原と岳沢湿原の2か所を回っても2時間程度で楽しめます。

上高地周辺の湿原の見どころ

レンゲツツジなど、湿原周辺に咲く花を愛でるのももちろん楽しみ方の一つです。しかし、何と言っても背後にそびえる穂高連峰を眺めながらのハイキングは爽快。途中のカラマツ林などの針葉樹の中を歩いたり、湿原の中にたたずむ枯れ木など、印象的な景色にも数多く出会えることでしょう。

まさに植物の宝庫!/池の平湿原(長野県 東御市)

浅間山の山麓に広がる、コンパクトな湿原。しかしながら、なんと1000種類以上の植物が自生する、まさに植物の宝庫。起点となる駐車場からは2時間程度あれば周遊できます。多少の高低差はありますが、よく整備されているのでスニーカーでも大きな問題はないでしょう。

池の平湿原の見どころ

湿原に咲く花が多数見られるのはもちろん、ルート上ではなんとコマクサも見ることが可能。花に関する知識がそれほど無くても、その植物の多様性には驚きです。

もっと気軽に湿原ハイキングを楽しもう!

湿原歩きの魅力は、高山帯とは異なり豊富な動植物との距離が近いこと。山を長時間歩く体力に自信がなくても、のんびりと自然を愛でる楽しみがあります。今回ご紹介したルートは、いずれも3時間未満のものばかり。旅行のついでに訪れるという形はもちろん、無理なく日帰りで楽しめるので、お子さんやその他ご家族など、普段は登山をしない方を誘ってのんびり楽しむのはいかがでしょうか。

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