自称「大して売れてないミュージシャン」が始めた野外ライブ、今年で10年目 京都・円山公園音楽堂「自分の歌を聴いてほしい」わがまま続ける原動力

原田博行さん

 悩み相談に自作のアンサーソングで答える「ハラダイス相談室」を京都新聞サイトで連載しているシンガー・ソングライターの原田博行さん(52)が手掛ける野外コンサート「ハラダイス・ライブ」が10月19日午後2時から、京都市東山区の円山公園音楽堂で開催される。「自分の歌を聴いてほしいという、僕のわがままから始まった」というステージは今年で10年目。野外フェスのようでありながら、歌うのは原田さんただ一人。「10年続けてきて、今、ようやくつぼみが花開くような予感がある。僕にできる全部で、来てくれるみんなを迎えたい」と節目の舞台に臨む。

 ライブに参加する演奏メンバーは、初開催した10年前に比べて3倍に増えたという。今年も原田さんのほか、京都市交響楽団のコントラバス奏者のジュビレーヌ・イデアラさん、バイオリンとアコーディオンのデュオ「シエスタ」など多彩な顔触れが音を奏でる。
 また、高校教師でもある原田さんが、読者から寄せられた悩み相談にオリジナルソングで答える京都新聞ホームページの連載「ハラダイス相談室」から生まれた楽曲も披露する。

 ライブ開催にかかる費用の一部は「サウンドロゴ」と呼ぶ企業や店舗を紹介する1分ほどの短い歌の協賛費で賄う。「50代になっても大して売れていないミュージシャンだけど、それでも僕が音楽を続けられているのは、支えてくれる人たちがいるから」。旧知の事業所や知人の紹介、SNSでつながった人たちなど、サウンドロゴのスポンサーはこの10年で40件を超え、年に一度の野外ライブをサポートする。 
 「学生時代、バンドを組んで文化祭でライブをした。その時の楽しさが忘れられず、ずっと音楽を続けて生きてきた」という原田さん。40代、50代と年齢を重ねる中で「メジャーになって売れることだけが、音楽のゴールじゃない」と改めて実感している。作詞作曲を手掛けた新曲「強く咲く花」では、「雨が続く日にもサボらずに過ごそう 思い出せないほど夢中でいよう」と、ひたむきに音楽を楽しみ続ける生き方を歌う。

 ライブ開催10年の節目に、これまでの自身の音楽活動を振り返った初めての書籍「音楽で生きていく11の方法」(ユニオン・エー刊、税別1200円)も出版した。原田さんは「ハラダイスは、一緒に演奏する仲間、ステージのデザインを手掛ける仲間、客席で屋台を出す仲間と、たくさんの人たちを巻き込んで、ともに作り上げることで続いてきた。変わり続けた10年だけど、変わっていない何かがある。今年も自分にしか歌えない歌を届けたい」と熱を込める。
 原田さんの書籍「音楽で生きていく11の方法」も当日会場で販売する。

音楽で生きていく11の方法

© 株式会社京都新聞社