リーチ マイケルは三色丼が好き「ラグビー日本代表」深イイ話

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両親(左側2人)を訪ねたリーチ一家

ラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会で、悲願の初8強入りを果たした日本代表。10月20日の南アフリカ戦では涙を飲んだが、快挙を成し遂げた選手たちの奮闘は賞賛に値する。その舞台裏には、各選手にまつわる “深イイ話” が。

キャプテンのリーチ マイケル(31)が、留学生として札幌山の手高校に入学したのは15歳のときだった。ホームステイ先の森山久美子さんが述懐する。

「不安が大きかったなか、いっさい愚痴は言わなかった。食事は私たちと同じものを食べる、英語はいっさい禁止と、あえて厳しく接しました。お米を食べる習慣はなかったのですが、最後には、私が作ったひき肉と卵と野菜の『三色丼』が大好きになったんです」

15人と、過去最多の外国出身選手が名を連ねるいまの日本代表。そんな彼らのまとめ役がトンプソン ルーク(38)だ。

「リーチは、時として外国出身選手に強く言えないときがある。そんなときが、彼の出番。きついことも言うし、最年長で誰よりも走り、誰よりもタックルする、行動で示すリーダーです」(担当記者)

途中出場で、「うまく試合を終わらせる」役割を担っているのが田中史朗(34)だ。

「彼は試合前、妻の智美さんに、『命を懸けて戦ってくるから、もし俺が死んだら、いい人を見つけて新しい人生を歩んでほしい』と、遺書を渡すほど試合に懸けている。

また、納得できないプレーをする選手には、『嫌われても勝てるのなら』と、厳しく意見する。だが今大会は、そういう場面がほとんどない。『それだけチームが成熟してきたんだ』と、嬉しそうに語っていた」(同前)

松島幸太朗(26)と福岡堅樹(27)は、ともに日本が世界に誇る「フィニッシャー(トライをする選手)」だが、2人には共通点が多い。

「松島は桐蔭学園卒業後、スーパーラグビーの『シャークス』のアカデミーでプレーしたが、出場機会が限られ、主力にはなれなかった。

福岡も、進学校の福岡高校から、一浪して筑波大に入学。将来を嘱望されながら、2人とも挫折を味わっている」(協会関係者)

並々ならぬ意欲で、今大会に臨んでいる点も同じだ。

「松島は、サッカーの欧州CL決勝を現地で観戦。雰囲気に圧倒されると同時に、『ラグビーもこれくらい盛り上げなければ……』と決意した。

福岡は東京五輪後、医学の道に進む。W杯は今回が最後だけに、結果に飢えていた」(同前)

今大会もっともブレイクした姫野

ラグビー用語で、“ボールを奪う” という意味の「ジャッカル」を世に知らしめたのが姫野和樹(25)だ。彼はトヨタ入社1年めに、監督から主将に任命された。

「監督は『彼を日本代表にできなかったら私の責任』と、姫野の才能を買っていた。そこで主将に任命したのだが、最初は『ルーキーが何を言っているんだ』と相手にされなかった。

悩んだ姫野は、歴史上の偉人の本を読んで知識を広げ、プレー面でも実力を発揮するようになり、認められる存在になった」(専門誌記者)

今大会の活躍で、契約延長が濃厚なヘッドコーチのジェイミー・ジョセフ氏(49)は、チームの和を重んじる。

メンバーの名前入り模造刀

41人から最終メンバー31人を選抜した網走合宿でのこと。代表から漏れた10人全員に(模造の)刀を渡し、「君たちはファミリーだ。その刀をいつも磨いておけ」と、怪我人が出たら再招集することを示唆した。なお、この模造刀は、試合で活躍した相手選手にも渡された。

31人全員の名前が刻まれたトキ

また、代表31人には、全員の名前が刻まれたネックレスの「トキ」をプレゼント。母国ニュージーランドのマオリのお守りとされるもので、「勇気を持って戦え」というメッセージがこめられている。

「みんなつけています。全員で戦うという意味で、『One Team』って彫ってあるんです」と、中村亮土(28)は言う。

プールAの4試合で未出場だったのは茂野海人(28)、木津悠輔(23)、北出卓也(27)、徳永祥尭(27)、アタアタ・モエアキオラ(23)の5人だが、貢献度は高かった。対戦相手を分析し、練習でその動きを実践してくれていたからだ。

稲垣啓太(29)は、こう語る。

「(練習で対峙する)木津はどんどん強くなっている。彼とスクラムを組むのがいちばんしんどい」

ジョセフHCは、グラウンド外で最も貢献した選手をチーム内で表彰するグローカル賞(グローバルとローカルをあわせた造語。国籍は関係ないの意)に、文句なしで木津を選んだ。

ちなみに、選手から信頼の厚い通訳・佐藤秀典さんは、グラウンドを離れればデスメタルバンド「INFERNAL REVULSION」のボーカルという顔も持つ。堀江翔太(33)は「人間としても、アーティストとしても信頼できる人」と絶賛する。

ラグビーは、生身の肉体をぶつけ合うだけに、怪我はもちろんのこと、一歩間違えば命を落としかねない。となれば、見返りが気になるところ。

日本ラグビー協会が発表した報奨金は、優勝でも1人500万円。ベスト4で300万円、ベスト8で100万円と、注目度や危険度に見合った額とはとても思えない。なお、サッカーロシアW杯での日本代表の報奨金は、1勝で200万円(引き分け100万円)、決勝T進出で600万円だった(優勝は5000万円)。

桜の戦士たちは、お金よりも名誉と誇りありき。そのことを国民が知れば、ワールドカップ後も、さらにラグビー熱は上がっていくことだろう。

(週刊FLASH 2019年11月5日号)