検査報告見落とし動脈瘤破裂 横浜市大病院で患者死亡

横浜市立大学付属病院(横浜市金沢区)

 横浜市立大学付属病院(同市金沢区)は24日、動脈瘤(りゅう)が増大しているとの検査報告を主治医が見落とした結果、70代の男性患者の動脈瘤が破裂し、9月に死亡したと発表した。相原道子病院長は医療事故と認め、「診断結果を生かせず、適切な治療の機会を逸した。市民の皆さまからの信頼を損ねる結果となり、誠に申し訳ない」と謝罪した。

 病院によると、2017年6月、腎臓疾患の疑いがある患者の腎臓の形態や悪性腫瘍の有無を確認するため、コンピューター断層撮影(CT)検査を実施。骨盤近くの「内腸骨動脈」で動脈瘤が増大しているのが分かり、放射線科の医師が画像診断報告書にその旨を記載した。だが診療する腎臓・高血圧内科の主治医はその記述を見落とした。

 患者は今年9月、病院に救急搬送されて入院し、動脈瘤破裂と診断された。その際、当直医師が17年6月の報告書を確認し、見落としに気付いた。患者はその後、死亡。病院は「破裂の予防につながる対応を取る機会を逸したことが原因」としている。

 同じ系列の市大付属市民総合医療センター(同市南区)で17年10月、70代の男性患者がCT検査で膵臓(すいぞう)がんの疑いと診断されながら、院内で情報共有されずに死亡したことが発覚。市大付属病院でも昨年4月、CT検査で腎臓がんの疑いがあると診断された60代の男性患者の情報がやはり院内で共有されず、死亡するなど、同種の医療事故が相次いでいる。

 2病院はこれらの医療事故を踏まえ、報告書の重要な所見には目印を付けるなど再発防止のためのシステムを昨年10月に導入。ただ病院は、今回は対策を講じる前だったと釈明した。

© 株式会社神奈川新聞社