頭脳警察の最重要ナンバー「R★E★D」カバーがオリジナルを超えた!

1986年 5月21日 PANTA のアルバム「R★E★D」がリリースされた日

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2019年、頭脳警察結成50周年の記念イヤーも大詰めを迎え、9月には待望のニューアルバム『乱破』がリリースされた。PANTA と TOSHI 以外のバンドメンバーも昨年末から固定され、現在進行形のバンドの音がバッチリ楽しめるアルバムになっている。全13曲のうち、前半8曲は新曲、後半8曲(うち4曲はメドレー)は頭脳警察のセルフカバーという構成も嬉しい。

PANTA の弾き語りのソロライブで初めて披露された新曲は、新メンバーによるバンドアレンジが施され、ライブごとにブラッシュアップされていくのをずっと追いかけて聴いてきた。まるで子供の成長を楽しむ親のような、完成したアルバムには成人した姿を見るようで誇らしさすら感じたりする。なぜなら、PANTA と TOSHI 以外のメンバー(G、B、Dr)が全員1990年生まれの若者で、そこに親心がくすぐられ、思わず抱きしめ頬ずりしたくなるアルバムなのだ。

アルバム前半の新曲に加え、後半のセルフカバーも若返りメンバーのイキの良さが爆発していてとても新鮮だ。ただ一曲だけ何故このアルバムに入れたのか疑問に感じる曲があった。それはセルフカバーとして収録されたアルバム9曲目の「R★E★D」。

この曲は頭脳警察の曲ではなく、PANTA のソロアルバム『R★E★D』に収録されたもので、どうしてこの曲を頭脳警察の曲として入れるのかな? という疑問だ。

1986年5月にリリースされたアルバム『R★E★D』は、PANTA が書いた未完の長編小説『闇からのプロパガンダ』を原作とした架空の映画のサウンドトラックとして作られた。タイを舞台に混沌するアジアを描いたサスペンス・アクション映画で、手が込んだことに、あらすじとスチール写真がアルバムのライナーに掲載されている。

「♪ もう我慢出来ない こんな暮らしにゃ」の歌詞で始まる「バニシングロード」を先頭に、このアルバムには他にも、“よど号ハイジャック事件” をモチーフにした「地図にない国」、“核の雨” を歌った「黒い虹」などもあり、スイート路線(ファンクラブが不買運動を起こしたアルバム『KISS』)以降のアルバムとは印象を異にするものだった。にも関わらず、僕は『R★E★D』にこみ上げるような熱い感覚を抱くことがなかった。今思えば、それはシンセサイザーの音のせいだったのかも知れない。

 スラムの小鳩から SOS
 植民地からも SOS
 飢餓の国から SOS
 鼓膜が破れそうだよ
 Revorution
 Evorution
 Devorution
 (頭脳警察 / R★E★D)

頭脳警察の『乱破』に収録された「R★E★D」はギターメインのアレンジになり、それだけで全く異なる印象の曲になっている。なんだか世界中の SOS を感じるぞ。これこそ僕が聴きたかった「R★E★D」だ。頭脳警察の最重要ナンバーと言い切っていい。

PANTA は、『R★E★D』以降、『クリスタルナハト』などのアルバムを経て、1990年に頭脳警察を再結成させる。そうか!「R★E★D」は頭脳警察再結成の導火線だったのか!

頭脳警察結成50周年。僕は年明けから毎月のように開催されるライブやイベントには必ず足を運び、会場で新しい頭脳警察Tシャツやグッズを見つけては購入し、ニューアルバムは販売店ごとに異なる初回特典(アルバム未収録曲のCD)を入手したいがために同じものを3枚購入したり。そろそろ僕のお小遣いが SOS を鳴らしそうだよ…。

カタリベ: やっすぅ