2040年研究会報告書 長崎県 高齢者人口25年ピーク 人材不足が深刻化 危機意識共有と対策提言

 日本の高齢者人口がピークを迎える2040年を見据えた課題や対策を検討する「県2040年研究会」が24日、県に報告書を提出した。長崎県の65歳以上の「老年人口」は全国より15年早い25年にピークに達し人材不足が深刻化するとして、自治体や企業、住民で危機意識を共有し、住民主体の地域運営や自治体連携に取り組むことや、人工知能(AI)など新技術の活用による課題解決を提言した。
 2040年を見据えた対策は各省庁で検討されており、長崎県は離島・半島が多く人口減少が全国より早く進んでいるため4月に研究会を立ち上げ、国の統計などを基に対策を検討した。
 報告書によると、本長崎県の総人口は1960年をピークに、全国より早いスピードで減少している。2040年に105万3千人と推計され、現在より約27万人減少する見込み。このうち老年人口は4割の41万7千人、15~64歳の生産年齢人口は5割を下回り、51万9千人と予測されている。
 人口減少に伴い労働力が不足し、自治体の税収も減少する。一方、高齢化により介護の負担や社会保障費が増加。老朽化した道路や橋などインフラの改修費も増す。職員数が減少し、行政サービスの維持が困難となる恐れがあるとしている。
 報告書では、人口減少社会の展望やメリットを見いだし、地域の問題を自分たちの問題として取り組む姿勢と意識の醸成、女性や高齢者の活躍推進を提言。行政と民間の協働や、県と市町の役割分担、AIやモノのインターネット(IoT)など新技術の活用、アジアの活力を取り込むことも提言している。
 研究会は自治体、大学、民間企業の代表者ら11人で構成。座長のながさき地域政策研究所の菊森淳文理事長が24日、平田研副知事に報告書を提出した。
 菊森座長は「危機感を共有し、行政任せではなく一緒に地域をつくっていくことが大事。報告書をきっかけに新たな議論をしてほしい」としている。
 県は来年度から6カ年の次期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」や21年度から5カ年の次期「総合計画」に反映する方針。

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