変わり続ける大村 園田市政2期目スタート・中 待機児童 子育て世代に寄り添って

大村市で深刻化している待機児童問題。対策は“待ったなし”だ。(写真はイメージ)

 「結構厳しい言葉もあるね」-。8月下旬、大村市役所で開かれた総合教育会議。会議で示された市民満足度調査(教育関係)の自由意見では、待機児童に関して「共働きで子育てすることの難しさを痛感した」「“子育てママ応援”をうたっているのに、待機児童が多いのはなぜ」などと切実な意見が並び、出席した教育委員らからため息が漏れた。
 多くの地方都市が人口減にある中、大村は50年近く右肩上がりが続き、10月1日現在で9万5062人を数える。それに伴い、認可保育所などに子どもを預けることを希望する共働き世帯も増加。入園申し込み児童数(0~5歳)は2015年の2776人から、今年は3247人にまで増えた。
 園田裕史市長就任後の17年4月には、希望しても認可保育所などに入れない待機児童が99人発生し、市は国の制度も活用しながら施設新設や拡充に補助金を出すなど対策を講じた。結果、受け入れ枠は2715人(17年4月時点)から3025人(今年4月時点)に増え、待機児童は70人にまで減らすことができたが、それでも県内で最多という。
 市こども政策課によると、背景にはハード面だけでなく、深刻な保育士不足もある。市内で働く保育士は595人(4月時点)。70人の待機児童を解消するためにはあと20人必要な計算だ。市は新卒学生向けに市内の保育施設を巡るバスツアーや、保育士として働くために市外から移住した人向けに就職祝い金を出すなど人材確保を急ぐ。資格を持ちながら保育の仕事に就いていない「潜在保育士」の発掘も鍵だが、市は潜在保育士が市内にどれだけいるかは把握できておらず、「広報紙などで呼び掛けるくらいしかできない」(同課)。幼児教育・保育の無償化に伴い、今後、入園希望者がさらに増加することも予想されるが、待機児童対策は決め手に欠いている。
 「大村に移住するまでは“子育てしやすい町”という印象で安心していたけど、現実はそう思えない。公園環境や学童保育への預けにくさといった不満もあり、本当に子育て世代に寄り添った対策をしてほしい」。子どもを通わせる保育所が決まらず、“保活”で苦しんだ経験のある市内の30代女性は、子育て世代の悩みをこう代弁する。
 「待機児童を早急に解決するのが次の4年間」と強調し、保育士の雇用拡大や施設整備の在り方などの検討を進めることを2期目の公約に掲げた園田市長。対策は“待ったなし”だ。

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