超問題作・映画『解放区』、峯岸みなみ(AKB48)×太田信吾監督"異色すぎる"トークイベント開催!「この映画を観て西成行ってみたいってならないじゃないですか」

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2014年に完成しながら 5 年の間劇場公開されることのなかった太田信吾監督の長編劇映画デビュー作であり、 超問題作『解放区』が 10月18日(金)よりテアトル新宿で絶賛上映中。 10/23(水)の上映後、 "異色すぎる“トークイベントが実施された。

映画『解放区』が世に放たれてから6日。 平日にも関わらず今夜も劇場には多くの映画ファンが訪れ、 劇場は満員御礼となった。 観客のお目当が、 本作が 2014年に完成するもあまりにリアルに“西成"という街を捉えたことにより、 5 年 もの間一般公開が許されなかった「問題作」だからなのか。 はたまた、 この上映の直後に予定されている“異色すぎる"トークイベントのためなのか。 いずれにせよ、 映画『解放区』は連日客足が途切れることなく公開から 6 日目を迎えた。

今夜の司会は、 本作の配給元であるSPACE SHOWER FILMSの高根順次。 高根の呼び込みで、 監督・太田 信吾。 そして峯岸みなみ( AKB48)が登場し、 会場は大きな拍手で迎えた。 両者軽く挨拶を終えると、 早速司会の高根が会場にいる誰しもが気になっていた質問を投げかけた。

高根「峯岸さんにはこの映画に公式コメントも寄せていただきましたが、 お二人はどういったつながりがあるのですか?」

太田「映画を公開するからには、 とにかく色んな人に見てもらいたいと思いました。 その時峯岸さんのTwitter を拝見していて、 とても映画に精通していてどのコメントも深くその作品を捉えていると思って。 すごくシンプルに、 もしこの人がこの映画を見たら何と言うのかな?と思って寄稿をお願いしました」

峯岸「ミニシアターの映画が好きなんです。 偽りのない、 人間の本質を描いた作品が多くて。 なので、 今回 『解放区』のコメント依頼をいただいたことはとても嬉しかったし、 このトークイベントも楽しみにしていました」

と答えた。 この西成を舞台にした「衝撃作」の監督・太田と、 現役トップアイドル・峯岸のつながりは誰もが気になるところだったのだが、 なんと 2 人は初対面。 続いて高根から峯岸へ「西成という街のことは知っていましたか?」という質問でトークイベントが始まった。

峯岸「実は西成という街がこういう背景を持った街だということを知らなかったんです。 この映画、 ドキュメンタリーとお芝居の境界線がないじゃないですか。 架空の設定の街なのかな? って後から調べて、 自分で掘れば掘るほど、 ここでこの映画を撮影したということとがどれだけ大変で、 これらの映像がどんなに貴重か理解しました。 」

峯岸「でもこの映画を観て、 西成行ってみたい! って絶対ならないじゃないですか。 怖い! ってなっちゃうと思うんです。 そこはそれでいいんですか?」

突然の峯岸からの質問に太田は一瞬驚いた表情をしていたが静かにこう答える。

太田「そこに行ってみたくなるような映像は自治体とかがイメージビデオを撮ればいいんです。 だからと言って僕は、 あそこは怖いところだ!絶対に足を踏み入れてはいけない! と脅すような意図も全くなくて。 いかにリアルにその街を収めるかと考えた結果カメラの前にいる僕たちとカメラの向こうにいる街の人に嘘という隔たりがあってはいけないと思ったんです。 作品と現実に境界線を設けないことを徹底していました。 だから僕らは、 西成で生活をすることから始めたんです。 」と答える。

そして太田からも、 峯岸にこんな質問が投げかけられた。

太田「ちなみに峯岸さんは普段、 徹底していることってありますか?」

峯岸「10代の時は、 こんな自分でいるともっと好きになってもらえるかもと自分を演じる、 というか無意識に自分を作っていたところがあって。 でもそれって誰にでもあるじゃないですか。 でも20代の半ばを迎えて、 どんなに背伸びをしてもそこに嘘がないようにしようって徹底することでとても楽になったんです。 」

すると太田は、 この街が多くの問題を抱えているのと一緒で、 僕たちも実際に大なり小なり何かしらの問題を抱えている。 映画『解放区』では、 僕の場合はメディアを通じることで発生するリアリティを表現することへの憤り、 本山の場合は引きこもりなど今や社会現象とも言える心の病。 作品に実際に出演している人物の問題を意図的に持ち込んでいるんです。 西成という街は、 そこに生きる問題を抱えた人たちをまず受け入れる。 共に考え、 そして共に生きるセーフティーネットが完成した街だと話した。

時間も迫り、 高根が映画のラスト。 主人公が落ちるところまで堕ちて、 最終的に投薬に到るシーンの話題を振ると

峯岸「あの表情!どうやったらあんな表情ができるんですか!」

と興奮し太田に問いかけると客席からは笑いが溢れ、 太田は少し恥ずかしそうにしていた。 連日のトークイベントで必ず話題となるこのシーンは、 作品の大きな見所のようだ。 是非劇場で目撃してほしい。 そして峯岸は最後に

峯岸「この映画を友達に、 絶対観て!と無邪気にオススメはできないですよね (笑)。 でも、 『もしよかったら観てみて!観たらいっぱい話そう!』って言いたくなる、 そんな映画だと思います」とトークイベントを締めくくった。

今夜のこのトークイベントが実現したのは太田の「自分の映画を見たらこの人は何というだろうか?」というシンプルな願望によるものだった。 そしてその願望を受け入れた峯岸みなみの実直な“感想"は映画への愛情に溢れており、 観客の共感と、 太田が求めていたものがそこにあった。

峯岸みなみが語ったように、 映画『解放区』は決して明るい映画ではない。 けど、 ラスト。 それぞれの行方を十人十色、 感じたことをポジティブに想像することもできる、 “西成"という街と同様に、 実に懐の深い作品であると言えるだろう。