豚コレラで経営断念、廃業2軒目

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福井県越前市内の養豚場で殺処分の作業を続ける県職員ら=10月13日

 豚コレラ発生で飼育豚を全頭殺処分した福井県越前市の養豚場が、経営を断念することが10月24日、分かった。同じく全頭処分となった同市内の別の養豚業者も自己破産申請の準備を進めており、福井県内で豚コレラ被害のあった農家2軒とも廃業することになった。

 養豚場を経営する男性(64)が同日、福井新聞の取材に明らかにした。

 男性は父親が1970年に始めた養豚業を継ぎ、5年ほど前には最大約800頭を飼育した。約20年前からは食肉業界や行政と連携し、福井県の独自ブランド「ふくいポーク」の飼育にも力を注いできた。県養豚協会長も務めている。

 廃業を決めた理由として、飼育豚へのワクチン接種が決まったものの「豚舎の周りに感染したイノシシは依然残っており、事業を再開しても100%さらなる感染を防ぐ自信が持てない」と説明。自身の年齢と後継者がいない状況を踏まえると、事業再開に必要な豚舎の改修や設備更新に対する投資、新たに親豚を仕入れて再び出荷するまで最低1年間の運転資金を負担できないと判断したという。

 男性の養豚場では8月12日に豚コレラが確認され、688頭を殺処分した。現実的な理由に加え、心に重くのしかかったのは「飼っていた豚たちのたくさんの命を守りきれなかった大きな敗北感」。山あいの小さな集落に数百人の県職員らが訪れ、夜通しで殺処分が行われた衝撃も大きかったという。

 農家2軒の廃業を受け、杉本達治福井県知事は10月24日の定例会見で「豚コレラ感染が引き金になっているがそれぞれに事情があると感じている。できることなら再開してもらいたいが、やむを得ない状況かなと思う。これからも必要なことは対策を考えたい」と述べた。