米国が文在寅政権に「異例の圧迫」…失政のツケは国民に

韓国と米国が2020年以降の在韓米軍の駐留経費負担の規模を決める2回目の協議が23日午前(日本時間24日早朝)から、米ハワイ州ホノルルで2日間にわたり行われた。

米国はこれに先立ち、韓国の防衛にかかる費用が年間48億ドル(約5215億円)にのぼると文在寅政権に伝え、韓国側の大幅な負担増額を求めている。2019年の韓国側の負担額は1兆389億ウォン(962億円)だから、48億ドルはその5倍以上だ。

「敵性国」向けの表現

トランプ政権の内部やその周辺にも、同盟国に対するこうした態度を批判する向きは少なくないとされる。韓国が同政権の圧力から自分の身を守るには、そのようは世論の支援を受けることが不可欠と言える。

だが直近の雰囲気で言えば、安全保障問題を巡り、文在寅政権を積極的に擁護する向きが米国にどれだけあるかは微妙だ。韓国紙・東亜日報によれば、米国務省は18日、今回の協議日程についての発表文で次のような立場を明らかにしている。

「(トランプ)大統領は、韓国がより公平な分担に貢献することができ、また貢献しなければならないという立場を明らかにしてきた(Republic of Korea can and should contribute more of its fair share)」「アメリカの国際的軍事駐留費用の維持は、同盟とパートナーが公平に分担しなければならない」

同紙は、国務省が協議に先立ち、このような形で立場を鮮明にするのは異例だと指摘している。


この間の米韓関係の推移を見れば、米国から韓国への圧力が強まるのも無理はないと思える。文在寅政権は徴用工問題と絡み韓国に対する輸出規制措置を発動した日本をけん制するため、日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を宣言した。

だが実際のところ、日韓のGSOMIAは北朝鮮に対抗するためだけでなく、中国やロシアを念頭に置いた弾道ミサイル防衛を米国が構築する上で、なくてはならないものだ。そのため米国は繰り返し、GSOMIAの破棄を思いとどまるよう韓国を説得していたのだが、文在寅政権はそれを頑として聞き入れなかった。

文在寅大統領が米国の意図を知りながら無視したのか、あるいは米国の意図を理解できなかったのかは定かではないが、相手を怒らせてしまったことだけは確かだ。

さらに今月18日には、親北朝鮮派の韓国人学生ら17人が駐韓米大使公邸の敷地内に侵入する事件が発生した。この事件を受け、在韓国米国大使館は同日、通常は敵性国に対して使うような表現を用いて、韓国政府に善処を求める声明を出している。

米韓がなお、強固な同盟を維持していることに変わりはなかろうが、そのための費用がいきなり5倍にも膨れ上がるとすれば、経済状況の厳しい韓国の国民にとっては相当な重荷だ。文在寅政権の独りよがりが、自国民を苦しめる結果を生みつつある。

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