リフォーム会社選びで陥りがちな大きな誤解(後編)

数百万円をかけ、家族がより快適に暮らせるために行う住宅リフォーム。前編では、「SUUMOリフォーム」の編集長を務めている筆者が、「これは大きな誤解だな」と思う質問とその答えをお話ししました。

後編では、リフォーム会社選びの際にありがちな失敗とその回避法、そして「納得の1社に出合うポイント」について、解説したいと思います。

まずは、インターネットやリフォーム専門の情報誌などで「いいな」と思う会社10社程度の情報を探しましょう。その後、条件を比較して、依頼先候補を2~3社に絞り込んでいきます。

「じゃあ、リフォーム会社選びって、具体的にはどうしたらいいの?」「そもそもリフォーム会社って、どんな会社があるの?」「候補の2~3社ってどう選ぶの?」という疑問に、リフォーム経験者の失敗談をもとにお答えしていきます。


ありがちな失敗と回避術

【失敗1】

同僚から、「社長が熱い男でいい会社ですよ」と紹介してもらったリフォーム会社。行ってみたら、かなり“圧”が強く、ちょっと引いてしまいました。同僚には合ったみたいですが、私もここに決めましたが、大丈夫でしょうか。

回答:リフォーム会社との「相性」はとても大事です。たとえばプランニングに時間をかける会社を、「じっくり考えさせてくれる」と捉える人もいれば、「悠長すぎて反応が遅い」と感じる人もいます。

提案力のある会社を、「アイデアが豊富」と評価する人もいれば、「押しつけがましく、私の意見を聞いてくれない」と感じる人もいるでしょう。これは「相性次第」だと思います。

どんなに評判が良くても、必ずしも自分に合うとは限りません。自分のペースや価値観と照らし合わせて会社を選ぶことが肝心です。

【失敗2】

3社から見積もりを取り、一番安いところに頼みました。完成後になんだか安っぽく感じ、リビングの床材やキッチン設備をもっと良いものにすれば良かった、などと後悔が残りました。

回答:相見積もりを見て、「総額」だけで安い会社を選ぶのは危険です。使う設備や建材の質もしっかり確認すべきです。提案内容と含まれる費用についてじっくり説明を受け、納得できる予算調整案をくれる会社を選びましょう。

一歩上を行く提案力はあるか

【失敗3】

リフォーム会社に私と夫の要望を全部伝えたところ、担当者はその都度「そうですね」と他の提案もなく、まったくその通りにでき上がりました。思いどおりの家になったけど、普通過ぎて少し不満です。

回答:なんでも要望通りになる「イエスマン」が正解とは限りません。自分が思いつくプランの一歩上を提案してくれる会社や、構造体の傷みや劣化を見つけて適切な解決策を考えてくれる、“プロならでは”の会社を選ぶことをオススメします。

新築とは異なり、リフォームには「できること」「できないこと」があります。この判断はリフォーム会社や担当者によって異なることがあるので、要望を叶えてくれる会社に飛びつくのではなく、説明に納得できる会社を選びましょう。構造や使い勝手を考えて無理をしない判断も大事ですし、できる方法を一緒に考えてくれる姿勢も重視すべきです。

【失敗4】

「今月中に引き渡し予定」と聞いていましたが、台風やシロアリの被害などの影響で、予定外の工事をすることになりました。想定していた金額や工期をオーバーして、ショックです。

回答:想定外の金額・工期オーバーには、施主による計画変更もありますが、外から見えない構造部分の劣化など、工事前に予測できなかった家の不具合によるものも多いもの。古いほど構造部分の劣化などが大きく、改善には技術や経験が必要です。

同じような事例の実績の多さも、1つの判断材料になります。事前の見立てが的確で、それをわかりやすく説明してくれる会社を選びましょう。

見落としがちなアフターフォロー体制

【失敗5】

設備のカタログをすぐ持ってきてくれたりして、契約からプランニングまでは「この営業さん、熱心だな~」と思っていました。ですが、完成・入居後にドアに不具合があると電話したら、「ちょっと来週まで行けません」と、冷たい対応でした。

回答:入居後にアフターフォローを頼むのは、緊急のことが多いもの。だからこそ、会社を選ぶ時に「もし不具合が起きた場合、すぐに対応してくれるかどうか」を質問しておきたいところです。

アフターフォローの体制は各社さまざまで、半年、1年、3年など定期的な点検がある会社、電話をすると即対応してくれる会社もあります。誠意を感じられる体制かどうかという点をしっかりチェックしておきましょう。

納得の1社に出会う8つのポイント

ここまで、経験者の失敗例と回避術をお伝えしてきました。具体的には、下記の8つのポイントをおさえて、候補の会社を絞っていきましょう。

どのリフォーム会社に声をかけるかピックアップする際に、まずは「外す・選ぶ・決める」の3つに分けて考えてみることをオススメします。

まずは最低限の“外す”要件を確認

【ポイント1】 施工エリア

施工エリア外の会社はNG。テレビや雑誌などのメディアで見て「ここにお願いしたいな」と思っても、対応エリア外のところには残念ながらお願いすることはできません。

【ポイント2】 工法・構造

たとえば、2×4工法の家の場合、うちは「木造軸組工法」しかやりません、という会社には依頼はできません。自分の家の工法・構造と依頼先候補会社の対応工法はしっかり確認しておきましょう。

まずはこの2点を排他的な要件として確認し、あてはまらない会社は候補から外してください。

4つの“選ぶ”要件をチェック

【ポイント3】 得意なリフォームの規模・価格帯

家の躯体に手を入れる「大規模・全面リフォーム」(700万円以上)が得意な会社もあれば、床・壁などの内装変更、水まわり設備の交換のような限定的な部位のリフォーム(500万円まで)が得意な会社もあります。希望するリフォームの範囲や、おおよその予算を整理してみてください。

【ポイント4】 得意なデザインテイスト

施工事例をたくさん見て、「まるで新築のような、モダンなトーンのデザイン」が得意なのか、「無垢の床材や珪藻土の塗り壁などナチュラルなデザイン」が得意なのか、デザインテイストも確認しておきましょう。

【ポイント5】 営業・プランナーの対応

リフォームは、1邸ごとにオリジナルプランを作るもの。担当者との信頼関係が大事です。担当者との相性、コミュニケーションを取りやすいか、ヒアリング力・提案力もチェックしてください。

【ポイント6】 アフターサービス・保証内容

保証期間は、基本は2年ですが、長ければ10年という会社もあります。長期保証は構造部、短期保証は設備や建具というケースが多いです。アフターサービスは定期点検があるほうが良いか、都度早い対応を期待するかも整理しておきましょう。

最終的に決めるポイントは?

このような要件でリフォーム会社の候補を選んだら、最終的にお願いする会社は、下記の要件で決めます。

【ポイント7】 見積もり・費用

費用総額だけで選ぶのはNGです。設備のグレードや材などの仕様と照らし合わせてチェックしてください。

【ポイント8】 プラン

「希望通り」は合格ライン。加えて、「プロならではの提案」があるかも確認しましょう。

上記の要件で絞り込んでいけば、最終的に自分の納得するリフォーム会社選びができるはずです。

ポイントがたくさんあると感じるかもしれませんが、リフォーム会社との打ち合わせを楽しめた人は、リフォーム後の満足度も高いもの。“会って、話して、ワクワクできるか”が成功のカギです。

今回ご紹介したポイントを押さえて、皆さんにとって後悔しないリフォームをしていただけたらと思います。

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