「証言2019 ナガサキ・ヒロシマの声」発行 長崎の証言の会 戦争、軍隊と地域の関係 特集

「証言2019」を紹介する山口編集長(左)と森口事務局長=長崎市役所

 被爆証言の掘り起こしや、核兵器を取り巻く国際情勢などを論じてきた「長崎の証言の会」は、1969年の創刊から通算76冊目となる年刊誌「証言2019 ナガサキ・ヒロシマの声」(A5判、266ページ)を発行した。今回は県内各地の戦争や軍隊との関わりを特集し、戦争の被害、加害について多面的に紹介している。
 特集は長崎や佐世保、大村への空襲被害、諫早や川棚の戦争遺構などを取材し、13本の記事で構成。佐世保、大村と自衛隊との関係性、三菱の兵器製造の歴史なども取り上げている。郷土史家、越中哲也さん(97)の戦争体験を同会メンバーが聞き取り、初めて掲載。仏教の勉強のため大学でサンスクリット語や英語を学んでいた越中さんが、諜報(ちょうほう)活動を教育する陸軍中野学校に在籍させられたエピソードなどを語っている。被爆証言は再録を含めて12人分。
 25日に市役所で記者会見した山口響編集長(43)は「日本が戦争をしていなければ原爆が使われることもなかった。原爆の被害だけでなく、日本が何をしたかを考えることも必要」と特集の意義を説明。森口貢事務局長(83)は「核兵器の非人道性や怖さを十分に認識していない人が増えていると感じる。もっと証言に触れてほしい」と話した。
 税込み2100円。問い合わせは同会(電095.848.6879)。

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