WTCR鈴鹿:グエリエリがシビックに地元優勝をもたらす。日本勢は悔しいレースに

 WTCR世界ツーリングカーカップ第8ラウンド『JVCケンウッド・レース・オブ・ジャパン』は10月26日、決勝レース1が行われ、ポールポジションからスタートしたエステバン・グエリエリ(ホンダ・シビック・タイプR TCR)が優勝を飾った。2位はニール・ランゲベルト(アウディRS3 LMS)、3位はティアゴ・モンテイロ(ホンダ・シビック・タイプR TCR)という結果に。シビックが1位・3位となった。

 WTCC時代以来、そしてTCRに車両が変更されてから初めてとなる鈴鹿東コースでの開催となったWTCR世界ツーリングカーカップ鈴鹿ラウンドのレース1。薄日がさし、気温19℃、路面温度25℃というコンディションのもと、15時05分にフォーメーションラップのスタートが切られた。

 なお、26日朝の時点で、予選時のピットレーンでの違反をはじめとしたさまざまなペナルティが課されており、グエリエリがポールポジションに。ランゲベルドが2番手、フレデリック・ベルビシュ(アウディRS3 LMS)が3番手に。暫定ポールだったモンテイロは4番手、宮田莉朋(アウディRS3 LMS)は5番手からスタートを切った。

 スタートでは、2番手スタートのランゲベルトが好スタートを決め、グエリエリをリード。ベルビシュ、モンテイロが続く。しかし2周目、グエリエリはランゲベルトをかわし首位を奪還した。一方、タイトなS字では29台が数珠つなぎ。テール・トゥ・ノーズの激しいバトルが展開された。

 上位陣では、グエリエリがリードしランゲベルトが続くが、3番手につけていたベルビシュが7周目、1コーナーで左フロントタイヤを破損。マシンをとめてしまう。これで8周目から10周目までセーフティカーが導入された。

 このリスタート時、S字から加速を決めたグエリエリはリードを守るが、終盤の22周目、13番手を争っていたアンディ・プリオール(リンク&コー03 TCR)がニッキー・キャツバーグ(ヒュンダイi30N TCR)と1コーナーで接触し激しくクラッシュ。プリオールは怒りが抑えきれず、憤怒のフィンガーサインを翌周コース上のキャツバーグに送った。

 プリオールのクラッシュでセーフティカーが導入され、チェッカーまでコース上に留まることに。アンダーセーフティカーでチェッカーを受けたグエリエリは、ホンダの地元コースで嬉しい勝利を飾るとともに、ランキングでも首位に浮上し、表彰台で『一番』と書かれた鉢巻きをつけ勝利を祝った。シビック・タイプR TCRにとってはWTCR鈴鹿での初優勝で、ホンダの清水宏モータースポーツ部長と熱い抱擁をかわした。

「僕にとってもベストな勝利のひとつだよ! ホンダには大きな感謝を伝えたい。いろいろな意味がある勝利だ」とアイルトン・セナに憧れたグエリエリは、鈴鹿での勝利を喜んだ。

 2位はランゲベルト。3位は、昨年の鈴鹿戦で復帰レースを飾ったモンテイロが入り、グエリエリと喜びを分かち合った。4位はテッド・ビョーク(リンク&コー03 TCR)、5位はヨハン・クリストファーソン(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)となった。

 ワイルドカード枠で参戦しているAudi Team Hitotsuyama勢は、宮田がスタートで遅れポジションを10番手前後に落としてしまうが、上位陣のトラブル等もありポジションを挽回。7番手につけ、2018年WTCR王者のガブリエレ・タルキーニと年の差37歳のバトルを展開した。しかし14周目、シフトのトラブルが発生したようで宮田はスローダウン。ピットにマシンを戻してしまう悔しいレースとなった。

 一方、14番手からスタートした富田竜一郎は、序盤イバン・ミューラー(リンク&コー03 TCR)らとバトルを展開しながら15番手を争っていたが、オーレリアン・パニス(クプラTCR)と接触し2コーナーでコースオフ。20位でチェッカーを受けた。

WTCR鈴鹿 レース1のスタートシーン
エステバン・グエリエリとニール・ランゲベルトの首位争い
ティアゴ・モンテイロ(ホンダ・シビック・タイプR TCR)を先頭とした3番手争い
東コース開催とあり、コース各所で激しいバトルが展開された。
ガブリエレ・タルキーニ、ケビン・チェコン、ロブ・ハフといったWTCRの猛者達を抑えた宮田だが、悔しいレースとなった。
富田竜一郎(アウディRS3 LMS)
アンディ・プリオール(リンク&コー03 TCR)は終盤ニッキー・キャツバーグと接触。1コーナーにクラッシュした。
『一番』の鉢巻きで喜ぶエステバン・グエリエリ
『一番』の鉢巻きで喜ぶエステバン・グエリエリ

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