千葉県の記録的豪雨の被害状況

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千葉県長柄町の仮置き場に積み上げられた災害ごみ=10月27日(共同通信社ヘリから)
千葉市緑区誉田町で土砂崩れに巻き込まれた住宅=10月26日午前8時48分

 福島、千葉で10月25日に降った記録的大雨で、計4人が死亡した千葉県内の土砂崩れ現場3カ所について、千葉県が「土砂災害警戒区域」に指定していなかったことが27日、県への取材で分かった。2カ所は指定準備中だったが、1カ所は斜面の角度や高さなどが国が定めた基準以下だったため、県は指定するかどうかを判断する現地調査もしていなかった。

 台風19号による豪雨の際も、群馬県富岡市で、未指定区域で土砂崩れが発生し3人が死亡した。自治体の防災対応の難しさが改めて浮かび上がった。国の基準の在り方も課題になりそうだ。

 千葉県内では土砂崩れにより、千葉市緑区誉田町で60代と40代の女性、同区板倉町で60代の男性、市原市郡本で50代の女性が犠牲となった。

 土砂災害警戒区域は、都道府県が地図による調査で危険箇所を抽出。現地調査を実施し、土砂災害の恐れがあると判断した場合に指定する。

 千葉県によると、千葉市緑区板倉町と市原市郡本の現場は危険箇所となっており、指定に向けた準備が進められていた。一方、千葉市緑区誉田町の現場は危険箇所に該当しないため、現地調査も実施しない区域だった。

 千葉市は土砂災害について各世帯に避難勧告を出す際、警戒区域や危険箇所に住む人を対象としている。25日は緑区内で300ミリ超の雨が降り、247世帯568人に避難勧告を出したが、誉田町の世帯は対象外で、避難するかどうかは住民の自主判断に任された状態になっていた。

 県は「事態を重く受け止め、今後さらに指定を推進したい」、千葉市は「避難勧告は、対象世帯でなくとも崖付近にいる方には避難を呼び掛けていた。より行動を促す情報の出し方を検討したい」とそれぞれコメントした。

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 台風21号の影響による関東や東北にかけての記録的な大雨で、千葉市緑区の土砂災害現場や福島県相馬市で10月26日、新たに6人の死亡が確認され、豪雨による死者は2県で計10人となった。相馬市で1人が行方不明になったほか、千葉県長柄町でも不明者がいるとの情報があり、県警が確認を進めている。千葉県では鹿島川など15河川が氾濫。学校や校外学習先から帰宅できず、校舎などに宿泊した公立と私立の児童生徒が計約1200人いた。

 成田空港では25日夜、約3千人が一夜を明かしたほか、千葉県内では一時1800人以上が避難した。

 千葉県警などによると、住宅が土砂被害に遭った千葉市緑区誉田町3丁目では自衛隊や消防が夜通し捜索を続け、26日早朝、がれきの中から行方不明になっていた40代女性の遺体が見つかった。市原市で25日に住宅が土砂被害に遭い、重傷を負った女性(57)も26日未明に死亡した。

 茂原市では、川の土手で男性の遺体を発見。長南町でも水に漬かった車から男性(91)の遺体が見つかった。川が氾濫した長柄町では、軽乗用車の中から男性(54)の遺体が見つかった。他にも不明者がいるとの情報があり、県警などが確認を急いでいる。佐倉市でも浸水被害があった。

 福島県相馬市では、25日夜に外出した60代女性が行方不明になった。26日朝、海岸近くで女性の遺体が見つかり、この女性とみて確認を急ぐ。息子を迎えに出たとみられ、息子とも連絡が取れず捜索している。

 千葉県によると、帰宅できなくなった児童生徒の中に、体調不良を訴える子どもはなかった。保護者が出迎え帰宅している。

 これまでに、住宅土砂災害で千葉市緑区誉田町3丁目の60代女性と、同区板倉町の住宅の住人とみられる男性が死亡。長柄町では車で避難中とみられる男性(88)が車ごと流されて亡くなり、長南町ではトラックを運転していたとみられる80代男性が死亡しているのが見つかった。

 交通機関の乱れも続き、JR総武線や外房線の一部区間で運転を見合わせた。市原市の災害拠点病院「県循環器病センター」などの医療機関や、各地の特別養護老人ホーム(特養)などの高齢者施設も一部で浸水した。

 気象庁によると、千葉県では25日午後には市原市で12時間降水量が280ミリ、佐倉市や鴨川市で240ミリを突破、半日で10月の平年値を超えた。