築100年は当たり前!古民家が散在する土地にUターンして地元貢献に励む人々の様子をレポート【広島県】

先日オシャレ古民家に泊まるべく、広島県北端にある庄原市に行ってきました。そこでは、築100年以上の古民家が全く珍しくないのです!Uターンで戻ってきた若い人々の地元愛が印象的だったので、そのお話をしたいと思います。

家は何代も受け継ぐもの

『せとうち古民家ステイズHiroshima 「長者屋」(ちょうじゃや)』

先日泊まった「長者屋」は、なんと築250年ほど!当時長者が住んでいた立派なお屋敷で、地元の人々に守られてきたものがリノベーションで素敵な宿に生まれ変わりました。

こんな風に茅葺だった屋根がトタンのような素材でカバーされている家を何度かみかけました。このあたりでは、築150年でも、築200年でもスタンダードなんですって。庄原の人々には、「家は受け継ぐもの」という考えが根付いています。まるでヨーロッパのような発想にカルチャーショックを受けました。

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女友達とのご褒美旅に最適!1日1組限定のオシャレ古民家宿・せとうち古民家ステイズHiroshimaの「長者屋」「不老仙」とは【広島県】

日本の家屋は30年が寿命と刷り込まれていたのは何だったんでしょう?調べてみると、高度経済成長期に安価な材料で建てられた家は劣化が早かったこと、また日本人がリフォームよりも建て直しを好む傾向にあるので、平均寿命が短かったようです。

しかし日本の無垢な木材を使い、数寄屋造りなど伝統的なつくりの家は、通気性がよく長もちします。

『せとうち古民家ステイズHiroshima 「不老仙」(ふろうせん)』

見学した築100年ほどのお宿である「不老仙」は、当時の欄間など美しいものはしっかり残しつつ、明るく開放的な雰囲気にリノベーションされていました。

地元では、市外で暮らす子供たちがこういった古民家ホテルを帰省のときに使うことで、この地で古民家をリフォームする住み方、楽しみ方を知ってもらえたらと考えている人々もいるそうです。

Uターンした人々

庄原市は広島から車で約2時間。農業が盛んな寒冷地で、コメは甘く、野菜も畜産物も美味しいところ。美しい里山の風景が残り、空気の美味しさ、おじいちゃんおばあちゃんの穏やかな物腰で、ああ古き良き日本の田舎にやってきたなと思えます。

しかし、庄原市の人口は、1947年に92,240人を数えたのをピークに、高度経済成長期に若者などが流出。その後も減少が続いていて、2019年の人口は2019年9月末時点で、34,994人。いわゆる「過疎化」です。しかも65歳以上が住民の42.6%を占めていて、高齢化が進んでいます。

実は、庄原市の本籍を持っている人は、住民の人口の約2倍。都会に出て行った人が多いのでしょう。

2017年にオープンした「よもぎカフェ」店主の冨 由香(とみ ゆか)さん(写真右)は、妹の原田 忍(はらだ しのぶ)さん(写真左)とカフェをやることに決めてどのエリアで出店するのかを考えていたとき、忍さんの「実家でいいじゃん」という言葉で庄原に戻ってきました。

何もない田舎に戻ることはないと考えていた時期も長かったですが、子供の頃にいつも声をかけていた近所の家が廃屋になっていたのがすごくショックだったことも、なんとかしなければいけないとUターンの動機になりました。よもぎカフェをコミュニティーの場として活用しながら、庄原を盛り立てていくアイディアを実現していくところです。

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広島・庄原の山の上にある自然派すぎる「よもぎカフェ」を実食ルポ【広島県】

現在「長者屋」で地元の食材のすばらしさを伝える出張シェフを担当するのが三河功治(みかわこうじ)シェフ。調理学校を出てから働き始めるときに、庄原に10年で帰ってくることを決めていたといいます。そこから逆算して、名店で修行したり、人気店でスーシェフを務めるなどして、必要な技術を身に着け、腕を磨いてきました。今年の6月にUターンしたばかり。

いまは出張シェフの傍ら、空き家となっていたおじいさんの家の手入れを始めていて、古民家オーベルジュを開くという目標に向かって動き始めています。一度外に出ていたからこそ持っている視点で、地元のユニークな魅力を次々と発見していっています。

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広島の古民家ホテルで楽しむ出張シェフのスペシャル料理を実食ルポ【広島県】

庄原市の移住者呼び込みプロジェクト

庄原市では、Uターン、そしてIターンを支援するプロジェクトを現在行っています。たとえば、空き家所有者と移住希望者のマッチング。また永住の意思をもって転入してくる人に、住宅の新築・新規購入の場合は費用の10%(上限100万円)、改修の場合は費用の20%(上限50万円)を補助する制度などを用意しています。古民家を新規購入して改修する場合は併用ができるので、上限150万円の補助になり、子育て世帯にはさらに加算もあります。これらの支援制度は、移住コンシェルジュがついて、アドバイスしてくれます。補助金を提供される条件に合う場合は検討してみるのもいいかもしれませんね。

軽々しくは言えませんが、いま空き家となっている古民家が1軒でも多く、人に手入れをされて息を吹き返していったら素敵ですね。

[All photos by Shio Narumi]

(参照)

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