WRC:タナク、表彰台圏内浮上で第13戦スペインでの王座獲得へ前進。マキネン「きっとやり遂げてくれるはず」

 10月26日(土)に行われた2019年WRC世界ラリー選手権第13戦スペイン(ラリー・エスパーニャ)の競技2日目。3台のワークスマシンで挑んでいるTOYOTA GAZOO Racing WRTは、オット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)が表彰台圏内の総合3番手に浮上、チームメイトのヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)も総合5番手につけている。

 ラリー・エスパーニャの競技2日目は、全7SSが行われ、その合計距離は121.72km。前日とは異なり、グラベル(未舗装路)ではなくターマック(舗装路)を主体とした構成で争われた。

 前日総合4~6番手につけていたトヨタ勢では、陣営最上位につけていたタナクがSS9~12までの4SS連続でトップタイムを記録。この日最後となったSS13を終えた時点で総合2番手ダニ・ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC)と3.1秒差の総合3番手につけた。

 なお、タナクがこのままの順位でフィニッシュした場合、最大5ポイントを獲得できるパワーステージのSS17の結果次第では、タナクのシリーズチャンピオンが確定する。

 総合6番手でスタートしたラトバラはSS8、SS11でステージ2位タイムを刻むなど、安定した走りをみせ、ポジションをひとつアップ。トップと46.8秒差の総合5番手につけた。

 残るミークはSS7でステージ2位タイムを刻み総合3番手へポジションを上げたものの、SS8にある高速左コーナー走行中にガードレールにヒット。マシンへのダメージが大きくデイリタイアを余儀なくされた。なお、ミークは競技最終日には出走する予定。

勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC)

 トミ・マキネン・レーシングOYから参戦している勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC)は、油圧系トラブルにより午前中のステージではタイムを伸ばせず。しかし、サービスパークでトラブルを解消し、午後のステージではペースを上げ、総合44番手で走行を終えた。

 チーム代表のトミ・マキネンは「ターマックでのパフォーマンスには自信を持っていたが、今日のステージではそれが証明されたと思う」と語った。

「一晩で路面がグラベルからターマックに変わるこのラリーでは、最初から限界まで攻めるのは簡単ではない。しかしオットは午後のステージで彼本来のスピードで自信を持って走り、非常に良い位置につけている。ライバルとの差はわずかだが、明日はきっと仕事をやり遂げてくれるはずだ」

「クリスのデイリタイアは、調子が良さそうだっただけに残念だ。しかし彼は我々のライバルにプレッシャーをかけていたし、小さなミスがこのような結果となってしまうのは起こり得ることだ」

「ヤリ-マティも全体的に速さがあったから、明日は貴重なポイントを獲得してくれるだろう」

 表彰台圏内へ浮上したタナクは「今朝は苦戦し、まったくいいリズムを掴めなかった。クルマのフィーリングはとてもよかったが、限界まで攻め切れなかった。このようなプレッシャーがかかる状況に、慣れていないことも理由のひとつだったかもしれない」と走行をふり返った。

ヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)

 ラトバラは「午後のセクションではとてもいいスタートを切ったが、アル・ムンメイ(SS12)のコーナーでワイドに膨らみ、何かに当たってステアリングアームを破損し、少しタイムを失った。それでも、ポジティブな1日だったといえるだろうね」とコメント。

 ミークは「2本目のステージ(SS8)を走り始めてすぐ、先がきつくなっている高速の左コーナーに向けて減速したんだ」とアクシデントをふり返る。

「熟知しているコーナーだったけど、突然後輪がロックして旋回に入れなかった。クルマのリヤがバリアに当たり、止まるしかなかったんだ」

 競技最終日となる27日(日)はSS14~17が行われる。最終ステージのSS17はステージ上位5名にボーナスポイントが与えられるパワーステージだ。4SSの合計距離は74.14kmと3日間で最短、リエゾン(移動区間)を含めた1日の総走行距離は236.61kmだ。

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