「ベッド革命!“もじゃもじゃ”を生む魔法の水槽」 ベッド業界に革命を起こした寝具メーカー「エアウィーヴ」。アスリートも認める大人気の“もじゃもじゃ”はどのように作るのか?

 反発力ある“もじゃもじゃ”のマットレスで、ベッド業界に革命を起こした寝具メーカー「エアウィーヴ」。アスリートも認める大人気の“もじゃもじゃ”を一体、どのように作るのか?愛知県幸田町にある工場に潜入すると、幾筋もの糸が滝のように流れ落ち、くるりくるりと弧を描いていた。

変幻自在!トロトロが神秘の“滝”に!?

 高く持ち上げた袋の中にぎっしりと詰まっていたのは、ペレットと呼ばれる“ポリエチレンの粒”。熱で溶かし、水あめのようにトロトロにすると巨大な水槽へと送られていく。

 水槽の隙間から覗いてみた。すると何かが上から垂れている。細く透明な糸。しかも幾筋も!溶けた樹脂が型から押し出され糸状に変化したのだ。光を反射しキラキラ流れ落ちる姿は神々しい滝を見るようである。

 糸は水面にぶつかると、くねくね、くねくね。まるでダンスでも踊るように弧を描く。樹脂はとても軽く水に浮くため、水面にぶつかった途端によじれるのだ。この時、糸同士が絡まり合って生まれるのが、あの“もじゃもじゃ”である。

長~いマットレスを生む“巨大水槽”

 水に浮くはずの“もじゃもじゃ”がなぜか水中へと沈んでいく。何が起きているのか?特別な許可をもらって水中カメラを入れてみた。すると、水槽の左右にあるベルトが“もじゃもじゃ”を挟み、水中へと引っ張り込んでいくではないか!これこそマットレスが生まれる瞬間。水面に顔を出すと、厚みのある“もじゃもじゃ”が長~く連なっている。まるで巨大な寒天が浮かんでいるかのようだ。

“硬さ”を変える仕掛けを発見!

 水面から顔を出した“もじゃもじゃ”マットレス。横から見ると上半分は“もじゃもじゃ”の密度が高く、下半分は密度が低くなっている。表と裏で“硬さ”の調整ができる、いわばハイブリッドなマットレスなのだ。一体どうやって密度の差を生み出すのか。答えの一つは樹脂を押し出す“型”にあった。密度が高い方は型の穴の数が多く、低い方は穴の数が少ないのだ。他にも水温や、水中に引き込むスピードでマットレスの硬さを変えているのだという。

一刀両断!工場に“ジョーズ”が出現!?

 巨大水槽で生まれた“もじゃもじゃ”マットレスは陸揚げされると台の上へ。すると、ジョーズのような背ビレがにゅ~っと顔を出しマットレスに忍び寄っていく。背ビレのような三角形の正体は“カッター”。鋭い刃で切りくずすら出すことなく“もじゃもじゃ”を3つに切り裂いた。それぞれ「頭」「腰」「足」の部分を支えるという。「体重が重い人の場合、腰の部分が沈みすぎると寝返りに体力を使って疲れやすくなる。そんな時は腰の部分のマットレスを硬い方にひっくり返して使えば体への負担が軽くなる。」(エアウィーヴ担当者)

 表と裏で硬さが違うこの“もじゃもじゃ”のマットレスは、2020年東京五輪の選手村のベッドに採用された。愛知生まれのマットレスで、たっぷり体を休めた選手たちが、あっと驚く記録と感動ドラマを生み出すかもしれない。   

                          【工場fan編集局】

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