「山の根踏切」廃止方針のJRに住民反発 3月に死亡事故

JRが廃止方針を示した山の根踏切=逗子市内

 JR横須賀線山の根踏切(逗子市逗子2丁目)で3月、横断中の高齢者が電車にはねられて死亡した事故を受け、JR東日本横浜支社は27日、住民向け説明会を市役所で開いた。JR側が安全確保のため、同踏切を廃止する方針を示したのに対し、住民側は生活道路として利用しているなどと反発。住民は市を含めた3者による協議会の立ち上げを求め、同社、市とも応じる意向を示した。

 同踏切は歩行者専用で、全長35.5メートル、幅2メートル。横須賀線など計9本の線路が走るが、警報器や遮断機は設置されていない。住民は京急線新逗子駅周辺などへの近道として、目視で安全を確認して利用している。

 同踏切を渡らずに同駅周辺へ向かうには、約300メートル離れた歩道橋か、この歩道橋下の金沢新道踏切を渡る必要があるが、不便との声が地域に根強い。

 同社は説明会で、廃止の理由として▽警報器や遮断機を設置するスペースを確保できない▽過去にも事故が発生、列車を緊急停止するケースも多い-などを列挙。閉鎖した場合には、迂回(うかい)先となる金沢新道踏切の遮断時間を短縮、歩道幅を約2倍の2メートルとする案も示した。

 一方、住民側は「(山の根踏切は)災害時、山側へ避難する通路にもなる」「迂回が難しくて存続を求めているのに迂回先の改良は代替案にならない」などと反発。安全策を施した上で踏切を存続するよう求めた。

 説明会は同日2回開催され、住民計160人が参加。住民側の行政も含めた協議を求める声に対し、同社は「継続して方針を説明し、理解を得ていきたい」とした。

 事故は3月21日午後5時45分ごろに発生。横浜市港北区の男性(92)が踏切を歩いて渡っていたところ、右側から来た電車にはねられて死亡した。

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