電波望遠鏡で描き出す銀河系の中心部

私たちの銀河系の中心部では何が起きているのでしょうか?

地球から銀河系の中心を可視光で見ようとしても、星間塵(宇宙塵、宇宙空間にある微粒子)が光を遮ってしまうため観測は困難です。しかし電波のように他の波長の光を使うと観測することができ、さらにその活動的な様子も見えてきます。

この画像は南アフリカに完成した電波望遠鏡「MeerKAT」が観測した電波画像です。MeerKATでは直径13.5メートルのアンテナ64台を連携させ(アレイと呼びます)、天体から来る電波をキャッチしています。この画像がカバーする範囲を地球から観測すると、夜空に満月を4個ほど並べたくらいの大きさに相当電波が強いところを明るい色で表現していますが、詳しく見るとさまざまな形・強弱があることがわかります。この領域には過去に他の望遠鏡でも観測した天体がありますが、MeerKATアレイによりそれらも含めて非常に詳細・鮮明に映し出されているのです。

よく知られている天体は画像中で「Sgr A(いて座A)」などとして示されています(「Sgr」はいて座(Sagittarius)のことで、私たちの銀河系の中心はいて座の方向にあるため、このような名前がついています)。画像中心の右側に示された「Sgr A」は銀河系の中心にある超大質量ブラックホールを宿しています。その他、中央から左側にかけて弧を描いた「アーク(Arc)」と呼ばれる構造や多数のフィラメントのようなものが見えますが、それらの電波源についてはまだよくわかっていません。

MeerKATが目指す観測対象は他にもあり、はるか昔(宇宙の年齢が若いころ)に放出された中性水素からの電波放射や、遠く離れた天体から短時間に電波が放射される「高速電波バースト」も含まれています。これからの成果が楽しみですね。

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Image: MeerKAT, SARAO
Source: NASA
文/北越康敬

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