レ・ミゼラブル「夢やぶれて」… 夢、これ以外に将来を作り出すものはない 1985年 10月28日 ミュージカル「レ・ミゼラブル」がロンドンで初演された日

イギリスのタレント発掘トーナメントで、ミュージカル『レ・ミゼラブル』の「夢破れて」を歌って大フィーバーをおこした人。

当時全く無名、片田舎に猫と暮らす、47歳、独身。スーザン・ボイルが舞台に現れた時みんな首を傾げた。

お尻フリフリ、田舎のおばさん。
47歳の年齢は私の側面よと平気顔。
だが、だが、メロディーなるや、

 夢をみていたわ
 望み高く生き甲斐のある日々
 愛は永遠だと夢見ていた
 神は寛大だと夢見ていた
 そして若さは恐れを知らず
 夢を浪費し無駄にして
 代償を払わずに
 歌も歌い尽くし
 ワインも飲み尽くし…

そこは教会の様な静謐な空気に変わり、誰もを受け容れる彼女の暖かな歌声に、あんな感想をもった自分を恥じた!見かけ判断に毒された自分に。

この辺は皆様もご存知であろう。もちろん審査員も観客も皆、息を呑んだのだった。

スーザンはインタビューにこう答えていた。

夢は歌手になること、大勢の人の前で歌うこと。キスもしたことがないけれど自分にはなにかあると信じていたわ。

2016年4月に、『レ・ミゼラブル』の原作者である19世紀最大の文豪、ヴィクトル・ユゴー記念館を訪ねた。

ユゴーは、パリのボージュ広場を見下ろす建物に1832~1848まで住んでる。3階に上がると家族との団欒を過ごした居間。そこには東洋的な壁掛けや飾り、沖縄のシーサー等置いてあり驚いた。

書斎を通り過ぎ奥に行くとフランスが誇る偉大な作家の寝室も公開されさていた。 主人公のジャン・バルジャン、その他の人物取材は周りの家族や知人からヒントを得たという。

ロンドンでのミュージカル『レ・ミゼラブル』初演は1985年。たった1本のパンを幼い子の為に盗んだ主人公ジャン・バルジャンは19年間の牢獄生活で脱獄を重ねながら、人を助け助けられ最後は神に祝福され天に旅立つ。そんな複雑な人生と当時の民衆の悲惨さや愛をテーマにした長編物語。

文豪ユゴーはフランス第二帝政・ナポレオン3世を拒否、祖国追放にもあっている。

そんな彼の遺した言葉、
夢 これ以外将来を作り出すものはない。

※2016年11月13日に掲載された記事をアップデート

カタリベ: ろーず真理

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