アメリカのファストフード業界最新事情

ファストフード発祥の国アメリカでは日本よりも数多くのファストフードチェーンが存在します。どのブランドも、メインのターゲットはミレニアル世代以下の比較的若い層になるのでマーケティングの動向も移り変わりは常に速いのですが、最近は特にユニークなプロモーションが増えてきたのでいくつかブランド別に紹介したいと思います。

McDonald’s(マクドナルド)

日本でもおなじみの世界最大ハンバーガーチェーンですが、先月大きな動きがありました。この3年、広告業務を委託していたオムニコムグループのWe Are Unlimited社との契約を終了し、アメリカ国内におけるクリエーティブ業務を独立系エージェンシーのWieden and Kennedy(ワイデン&ケネディ)に移行すると発表し、広告業界で話題になりました。

マクドナルド側は「近年はデータに頼ったマーケティングに寄りすぎた。クリエーティブに回帰する。」としていますが、一部の関係者によるとWe Are Unlimitedが提案した『ベーコンレコード案』が契約終了の決定打になったと言われています。マクドナルドは今年初めに“Bacon Hour”と呼ばれるプロモーションを実施するなど、近頃ベーコンに力を入れていると見られますが、この流れの中でWe Are Unlimitedがベーコン製のLP(レコード)を作るプロモーション案を提案。さらにその検証に15,000ドル(約160万円)の資金が必要とマクドナルド側に要求したことで同社のマーケティングチームを大いに失望させ、契約解除に至ったと報じられました。

もちろん提携解消に至るまでは他にも様々な要因があったとは思いますが、個人的にこのご時世に食べ物を粗末にするような非常にセンスのないプロモーションアイデアだと感じました。マクドナルドが今後協業するWieden and Kennedyはアメリカの他のファストフードブランドでもとても面白いプロモーションを手掛けており、これからのマクドナルドのマーケティングには期待が高まります。

 

KFC(ケンタッキーフライドチキン)

さて、そのWieden and Kennedyがクリエーティブを担当しているのがKFCです。KFCはここ最近、独創的なプロモーションを多々展開しており、インスタグラムなどのソーシャルメディアもうまく利用しています。今月実施したのが『fried chicken-scented seasoned tickets』です。これはKFCのオリジナルチキンの香りがする75ドルのチケットで、毎週48個のウイングを10週間に渡って購入できるという内容でした。500枚限定でオンライン販売したところ、2時間もたたずに売り切れになったと報じられています。

このプロモーションはKFCのデリバリー注文ができる新しいオンラインプラットフォームと、ウイングの新メニューのプロモーションとして実施されました。ウイングはアメリカにおいてはアメリカンフットボール(NFL)を観るときの定番アイテムなのですが、CMもNFLの試合に合わせて放映されました。

 

Wendy’s(ウェンディーズ)

個人的に大好きなのがウェンディーズのソーシャルメディアです。

 

ユーザー:ねぇウェンディーズ、一番近いマクドナルドを教えてくれる?

ウェンディーズ:(ゴミ箱の画像)

ユーザー:近所にウェンディーズがないんだけど、どうしたらいい?

ウェンディーズ:引っ越したら?

ウェンディーズのTwitterはしばしば競合他社への攻撃的な発言もあり、日本の企業ではあまり考えられない運営方針かと思います。ですがユーザーはそういう性格を面白がってわざと挑発的なコメントを投稿するなど一種の独特なコミュニティが形成されており、ウェンディーズのSNSは常にたくさんのコメントがついています。

 

Carl’s Jr.(カールスジュニア)

カリフォルニア発祥のハンバーガーチェーンのカールスジュニアは、今年になってビーガン用肉(本物の肉を使わずに肉のような食感を持たせた食材)を使用したメニューをリリースしました。アメリカでは『Impossible』『Beyond Meat』がビーガン肉の有名ブランドですが、カールスジュニアが使用しているのは『Beyond Meat』のもので、そのメニューはBeyond Burgerと呼ばれています。今年8月に、この新しいバーガーのプロモーションとしてアメリカ全国1,000店舗にて無料サンプリングを実施しました。ビーガン(Vegan)人口はアメリカで着実に拡大しており、各レストランもビーガンメニューをそろえる店が増えてきています。

カールスジュニアで使用しているのは『Beyond Meat』ですが、競合のBurger King(バーガーキング)では『Impossible』ブランドのパテを使った“Impossible Whopper”が販売されています。ちなみに両製品の食品成分は以下のようになっています。Impossibleは主に大豆、Beyond Burgerは主にエンドウ豆でできているようです。

★Impossible Burger食品成分

Water, Soy Protein Concentrate, Coconut Oil, Sunflower Oil, Natural Flavors, 2% or less of: Potato Protein, Methylcellulose, Yeast Extract, Cultured Dextrose, Food Starch Modified, Soy Leghemoglobin, Salt, Soy Protein Isolate, Mixed Tocopherols (Vitamin E), Zinc Gluconate, Thiamine Hydrochloride (Vitamin B1), Sodium Ascorbate (Vitamin C), Niacin, Pyridoxine Hydrochloride (Vitamin B6), Riboflavin (Vitamin B2), Vitamin B12.

★Beyond Burger食品成分

Water, Pea Protein Isolate, Expeller-Pressed Canola Oil, Refined Coconut Oil, Contains 2% or less of the following: Cellulose from Bamboo, Methylcellulose, Potato Starch, Natural Flavor, Maltodextrin, Yeast Extract, Salt, Sunflower Oil, Vegetable Glycerin, Dried Yeast, Gum Arabic, Citrus Extract (to protect quality), Ascorbic Acid (to maintain color), Beet Juice Extract (for color), Acetic Acid, Succinic Acid, Modified Food Starch, Annatto (for color).

 

“アメリカでのWebマーケティングの秘訣💡”

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