内側の車輪は平ら【私鉄に乗ろう95】箱根登山鉄道 その14

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行き違い所に差し掛かりました。強羅駅と早雲山駅の中間、600m地点です。ケーブルカーは通常の鉄道と異なって、外側の車輪に溝がついていてガイドの役をしています。内側の車輪は平らです。筆者の乗っている車両は常に行き違い所の左側だけを通るのです。

すれ違うHT2は常に行き違い所の右側を通ります。この後は下に向かうケーブルカーのケーブルが右側のホイールを通っているのが見えます。

この写真を見れば分かる様に、ケーブルカーは常にケーブルの先にぶら下がっていますから、そのケーブルを通すための特殊な分岐器になっているのです。内側の車輪が平らで無ければこの分岐器は通れません。

公園上駅から240mで中強羅駅。下の2つの中間駅と違って、この駅にはケーブルカーの軌道を渡るアンダーパスや道路がありません。線路の反対側に行くには停車中に両側のドアを開けるケーブルカーの車内を渡るしかないのです。ケーブルカーのいない時間帯に駅の反対側に行くには、公園上駅まで降りてぐるっと遠回りをしなければなりません。上の上強羅駅も駅を渡るにはケーブルカー車内を通るしかないのです。

駅名標。標高は654m。

中強羅駅を出発。駅全景です。ホーム上の人たちは何故か意見がまとまらなかった様で乗車しませんでした。中国語の様でしたが何をもめていたのでしょう・・・。

ケーブルカーは駆動装置を積んでいませんから、奇妙な静けさの中をスルスルと登ってゆきます。架線とパンタグラフは冷房装置とか電装品用かな。

また240mで最後の中間駅の上強羅駅。

駅名標。標高は703m。1921年(大正10年)の開業時は早雲館駅でした。1951年(昭和26年)上強羅駅(二代目)を襲名じゃなくて改称。ケーブルカーの構造上で公園下駅に停まる為に作られた駅、最近は公園下駅の利用者が激減し、むしろ上強羅駅の利用者の方が多いという逆転現象が起きています。

この駅も停車中のケーブルカーの車内を通路にする以外にケーブルカーの線路を渡る手段が周囲にはありません。周辺には旅館や保養所が山の様にありますが、不便じゃないのかな。でも考えてみれば業務で利用する人は少ないでしょうし、モノを運ぶには自動車を使いますよね。観光客の場合は駅を越えて散歩でも企てない限り駅を越える用事は発生しないのです。

次は終点の早雲山駅です。何処にも行かずそのまま折り返す予定です。

では、【私鉄に乗ろう95】箱根登山鉄道 その15 に続きます。

追記:

このコラムは、2019年9月に書かれたものです。御存知の様に、2019年10月12日に関東から東北に上陸した大型で強力な台風19号は、関東甲信越と東北地方に甚大な災害をもたらしました。台風によって亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。被災された皆様にお見舞い申し上げます。

また台風19号は箱根登山鉄道にも甚大な被害をもたらしました。箱根周辺では、1,000ミリを越える前代未聞の雨量が記録されたのです。ニュース映像などを見る限りでは路盤や橋梁などの被害は凄まじい状態です。長い歴史と風雪に耐えてきた箱根登山鉄道が箱根湯本駅と強羅駅間で運休という事態になっています。現在は代行バスが運行されています。幸い箱根登山ケーブルカーは10月16日から運行が再開されています。

被害に遭われた箱根登山鉄道にお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復旧を心からお祈りいたします。

また復旧などの情報も随時。お知らせいたします。

(写真・記事/住田至朗)

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