食べ歩きは8%?10%? 軽減税率1カ月、線引き複雑 増税分泣く泣く負担の店も…

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店内飲食と持ち帰りが同一価格であることを知らせる張り紙=神戸市中央区

 1日に消費税率が8%から10%へ引き上げられるとともに、国内で初めて軽減税率が導入されてから間もなく1カ月。飲食料品の「持ち帰り」は税率8%、レストランでの「外食」や店内スペースでの「イートイン」は10%となるが、観光地での「食べ歩き」を巡り、小売業者らが対応に戸惑っている。観光客が飲食するベンチが誰の管理か-によって税率が変わるなど線引きが複雑で、増加する外国人客に説明するのは難しく、価格を据え置いて増税分を負担する店も目立つ。

 国税庁によると、食べ歩きで8%が適用されるのは、店が管理していないベンチでの飲食や歩きながらの飲食。「立ち食い」は、カウンターなどの飲食設備がある場合は10%、ない場合は8%と定められている。

 観光客でにぎわう神戸市中央区の南京町。ラーメン、唐揚げ、スイーツ…。食べ歩きできる商品が店先にずらりと並ぶ。

 豚まんで知られる「老祥記」は持ち帰りと同様、イートインの価格も8%相当に据え置いた。増税の2%分は店が払うことになる。

 イートインと持ち帰りの割合はレジのほか、店内の防犯カメラでも確認。イートインは全体の1割ほどというが、平日も行列ができ、姉妹店と合わせて1日2万3千個もの豚まんを売り上げる。増税分の負担が痛くないとはいえないが、3代目店主の曹英生(そうえいせい)さん(62)は「店員の負担やお客さんの混乱を考え、増税分の上乗せはやめた」と話す。

 神戸市北区の有馬温泉でも増税分を負担する店は少なくない。店内飲食もできるジェラート店は、購入時に客の自己申告で「持ち帰り」か「店内飲食」かを確認するが、どちらも同じ価格。別の菓子店は「増税分を価格転嫁するだけで、消費者には値上げと映る。売り上げが落ち込むより負担する方を選んだ」とする。

 また、立ち食い用のカウンターがある姫路市内の飲食店は、国税庁の手引では10%となるが、「店先での立ち食いとの違いが難しい」と値段を据え置いた。

 同市内でアイスクリームなどを扱う土産店は当初、イートインスペースに説明の張り紙を掲げ、値段を8%と10%で分けることを検討したが断念。2%分を負担することにしたという。外国人客が急増しているためで、「日本人でも分からんのに、外国人に説明するのはもっと難しい」と店主。「国は広報や説明にコストをかけるなら、いっそ全部10%にしたらいいのに」とぼやく。

 イートインを巡ってはスーパーやコンビニなども対応に苦慮。買い物客の自己申告に委ねる店が多く、「申告しない客が店内で食べても黙認するしかない」との声が目立ち、制度の有名無実化が指摘されている。(末永陽子)