瀬戸内カヤック横断隊 兵庫・赤穂発、亡き隊員の古里・愛媛を目指す

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瀬戸内カヤック横断隊の原康司さん(左から2人目)、山口晴康さん(左)ら=赤穂市御崎

 727もの島がある瀬戸内海域中、約270キロをカヤックで1週間こぎ続ける「瀬戸内カヤック横断隊」が11月18日朝、兵庫県赤穂市御崎の大塚海岸を出発する。目指すのは北条鹿島(愛媛県)。今年急死した隊員の古里だ。例年の小豆島(香川県)-祝島(山口県)のルートから変更した。赤穂御崎の絶景を眺めながら出発。日生、牛窓の入り組んだ海岸線、鹿久居島や小豆島の島々を目にして航海に出る。

 同横断隊の航海は17回目。瀬戸内海や全域の島々、海が育んだ文化を知ろうと海洋ジャーナリスト内田正洋さんが隊長を10回務めた後、瀬戸内伝統航海協会代表理事の原康司さん(47)=山口県平生町=が2代目隊長を継いだ。原さんは日本人の祖先が3万年以上前にたどった航海を再現する国立科学博物館などのプロジェクトに参加。今年7月、台湾東部から5人乗りの丸木舟でこぎ出し、黒潮の速い流れを越えて200キロ以上離れた沖縄・与那国島に着く航海をこぎ手キャプテンとして成功させた。

 急死した隊員は楠大和さん。原さんの次の隊長にと期待されていたが、今年5月にくも膜下出血で倒れ、40歳の若さで亡くなった。隊員にコーヒーを入れ、たき火の番を最後までするなど周囲に気配りを欠かさない優しい人柄だった。横断隊には10年間参加。昨年の体験記には「美しい夕日を見ながら祝島を目指すのは初めてだった」と記し、参加を楽しみにしていた。

 原さんは丸木舟の航海に向け、台湾に渡った後、楠さんの死を知った。「うそやろ」。突然の知らせに耳を疑った。丸木舟で夜を徹し2日間こぎ続ける航海を成功させた後、瀬戸内横断隊の隊員と相談し、楠さんの古里へ向かうことを決めた。例年通りに小豆島から出発すると、距離が縮まるため、赤穂市の隊員、山口晴康さん(58)の協力で赤穂出発に変更した。

 原さんは「海草アマモの藻場再生に向けた赤穂や日生の取り組みを知り、関心を持っていた。歴史文化のある赤穂御崎は出発地にふさわしい」。山口さんは「赤穂には自然海岸が残り、海にも近づきやすい。人とのつながりを大切に、次世代への環境教育にも役立てていきたい」と話す。

 横断隊は大三島(愛媛県)を経て11月24日にゴール予定。参加自由で一部参加も可。原さんや山口さんがフェイスブックで情報発信している。(坂本 勝)