実践! 三種の神器を軽量化して【30ℓパックに入るだけ】のテント泊! テント泊するなら50ℓ以上のバックパックが必要。でもそうすると「荷物は大きくて重いし、テント泊は諦めるか……」と思っているみなさん。30ℓの小型パックでもテント泊が可能かもしれませんよ。今回は快適さにもこだわった装備ノウハウを紹介。実際にテント泊が可能かどうか検証してきました!

デイハイクは30ℓ、テント泊は50ℓパックという考えを見直す

テント泊をしてみたいけれど「背負うバックパックが大きくて、重いから無理……」と考えているハイカー、意外と多いようです。すでにテント泊しているハイカーからも「もう少し、荷物を小さく軽くしたい」という悩みを聞きます。

そこで、提案したいのが、「30ℓのパックに入るだけの装備でテント泊してみる」。必然的にパックは小さく、荷物は軽くなります!

テント泊の三種の神器を、最新モデルでコンパクトに

よく言われる「デイハイクは30ℓの小型パック、テント泊は50ℓ以上の中型~大型パックが基本」という考え方。
確かに、テント泊に必要な「三種の神器=テント、寝袋、マット」を定番といわれる道具で揃えると、50ℓ以上のパックでないと収納できないかもしれません。

でも、これらの三種の神器を最新の軽量コンパクトなもので揃えれば、案外ラクに30ℓの小型パックに収まるんです! 実際、上の写真のように収まりました!! 今や、そういう時代なんですね。

30ℓパックに入るだけの、テント泊装備を公開!

まずはテント泊の三種の神器

上の写真は今回装備したテント、寝袋、マットの収納写真です。左が<テラノヴァ>のレーサーパルス1というテント、右は<シートゥサミット>のスパークSpIIという寝袋、<シートゥサミット>のイーサーライトXT インサレーティッドマットです。横に置いたのは750mlのボトル。大きく見積もっても5ℓ程の容量に収まるコンパクトさです。

これらにデイハイクでいつも持って行く荷物と食料を合わせて、25ℓ以内に収めれば、30ℓのパックに収まります。意外なほど、簡単ですよね?

ギリギリの装備ではなく、快適さを備えても余裕あり

上の写真は30ℓのパックに収納した全装備です。それぞれ説明すると、

下山後の着替えや多めの食料、サンダル等、山行では贅沢といえるモノを装備しても、パックは少し余裕あり。装備一式(カメラ道具一式と水も含めて)の総重量は、12.5kgでした。

軽量コンパクトだけれど削り過ぎず安全に

「30ℓのパックに収まるだけ」といっても、必要なものを持って行かない訳ではありません。エマージェンシーキットや救急用品、ライトやバッテリーといった、山で長時間過ごす上で必要になるものを削ってしまっては不便なだけでなく危険が増すので、しっかりと装備しています。

これらの道具は、テント泊をしようと思って軽量コンパクト化を考えるのではなく、デイハイクの時から何が必要、変更可能、取捨選択をしてブラッシュアップしていれば、テント泊の際にもそのまま使えます!

食料は1~2泊程度の山行なら行動食だけにして、ストーブやクッカーを削って装備をコンパクトにするのもひとつの方法です。でも春、秋のテント泊は寒さへの対応も必要不可欠です。温かい食事が体調を維持する効果があることも考えて、今回はきちんと装備しました。

もし収まらなければ、外付けもアリです!

どうしても30ℓパックに収まらない、テント、寝袋、マットすべてを新調してコンパクト化するには予算が……という方。マットをパックに外付けすれば、かなり余裕が生まれます。またライトや行動食などもポケットやサコッシュなどに収納。装備は削らず、スペースを作ることができるでしょう。いわゆるパッキングの基本を守ればよいのです。

今回使用したテント泊三種の神器レビュー

先に紹介した、今回使用したテント泊の三種の神器=テント、寝袋、マット。これらは軽量コンパクトさが優先されて「使い勝手はイマイチなんじゃないの?」と思う方がいるかもしれません。でも最低気温7℃位で使ってみた感想をお知らせすると、まったく問題ないどころか、とても快適でした。

重量545gと超軽量。ダブルウォールで結露なし!

これまで重量1キロ以下の超軽量テントは、いわゆるツェルトのような1枚布のシングルウォールが主流でした。それらはテント内側が結露で濡れやすく、時に不快です。
でも今回使用した<テラノヴァ>のレーサーパルス1は、インナーテントにフライシートを被せたダブルウォール仕様。結露はまったくなし!荷物を置ける広さのある前室も装備しているのに545gと超軽量。

ただし軽さゆえに素材は極薄なので扱い注意。また非自立型なので岩場では設営に慣れが必要。それらを踏まえて使えば、この軽量コンパクトさは、山歩きを一層楽しくしてくれるでしょう。

最低気温が0℃にも対応。全身サイズで寝心地抜群

夏なら寝袋は厚手のものも不要。マットも半身サイズで問題ないでしょう。でも気温0℃前後まで冷える春、秋のテント泊では、それらでは寒いです。
今回使った<シートゥサミット>スパークSpIIの寝袋と、<シートゥサミット>イーサーライトXT インサレーティッドマットは、気温0℃に対応するスペックを装備。マットは全身サイズで厚さは10㎝もあり、保温材も内蔵。それなのに軽量コンパクトで、寝心地快適。テント泊のハードルの高さを、かなり下げてくれる逸品だと感じました。

「30ℓパックに入るだけ」でテント泊するポイント

①テント
重量1kg以下のテントを使用がマスト。近年は快適なダブルウォールモデルが増えていて、軽量コンパクトな上に快適さも装備。ただし極薄素材なのでフロアシートを使うなど、扱いに注意が必要です。

②寝袋&マット
これまでは薄手の寝袋で防寒着着用、半身マットの使用が軽量化のポイントでした。でも最新モデルは気温0℃対応の寝袋、全身サイズの保温材入りエアーマットなら、春、秋でもあったかコンパクト可能。

③その他の装備
テント泊に必要な三種の神器=テント、寝袋、マットに最新軽量コンパクトモデルを選べば、他の小物類はデイハイクで使っているものと同じでも収納可能です!

「30ℓパックに入るだけ」のテント泊は、安全でもあります!

30ℓパックでテント泊。パックが小さく、荷物が軽くなると、足取りは軽くなり、気持ちに余裕が生まれ、疲労も軽減できます。つまり、より安全な山行ができると感じました。コレ、大きなメリットだと思うんです。さらにはこれまでとは違う、新たな山の風景とも出合えるチャンスが増えるでしょう。

それでは皆さん、よい山旅を!

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