スバル:ニュルクラス優勝マシンの実車がある!!
WRX STIの点検整備を体験
まず訪れたのは、スバルブース。ここではレーシングカーのタイヤのナットを締めたり、トルクレンチでトルクを掛けたり、空気圧を測ったりと、レーシングカーのタイヤまわりのリアルなアレコレを体験できるのだが…「いや、ちょっと待って?! この体験用のクルマって、今年のニュルでクラス優勝したWRX STI?! いやいや、レプリカだよね」と思っていたら「本物です」。
本来ならキッザニアでなく通常のスバルブースに大切に展示されているようなクルマを子供の体験用に提供するって太っ腹というか、もう度を越している。
「もし傷ついたら…、とかないんですか?」という問いに、「まったく気にしてません」の返事。かっけぇ…。ニュル優勝車のWRX STIを見たい大人の方は、青海展示棟のキッザニアにあることをお忘れなきよう。
ホンダ:スーパーフォーミュラで気分はレーシングドライバー!
シミュレーター体験では鈴鹿を走る!
スバルに度肝を抜かれつつ、ホンダブースに行ってみると、スーパーフォーミュラのマシンがいきなりお出迎え。まさかとは思いますけど、これも…?「本物です」。どのメーカーもキッザニアに力入れすぎでしょ。
ホンダブースでは、なんとレーシングドライバーの職業体験ができちゃうとのこと! 本物のレース用ドライビングシミュレーターが3機も置いてあって、座学の後にこのシミュレーターで鈴鹿サーキットを走るとか。そのあとは、スーパーフォーミュラ15号車に乗って記念撮影、最後にはドライバーライセンスまで発行されるという。本気が過ぎて、もはや脱帽だ。
日産・三菱:プロも使用する画材でデザイナー体験!
元デザイナーも驚く本格派!
クルマのデザイナーの職業体験ができるのは、日産と三菱のブース。どちらもかなり本格的なのだが、日産はクルマのコンセプトから考えて、実際に粘土でクルマを作り、最後に自分がどんなクルマを作ったかプレゼンまで行うそう!
三菱は、ブース自体が本物の自動車メーカーのデザインルームのような大人っぽいつくりになっていて、今回のモーターショーでワールドプレミアされたMI-TECHコンセプトの小型クレイモデルも展示されていた。
元デザイナーの私がもっとも驚いたのは、子供たちがクルマのデザインをするのに用意されていた画材だ。コピックマーカーはもちろん、パステル(粉末状にして淡い風合いを出せる画材)まで使うなんて! いずれも昔からカーデザイナーがデザインする時に使う本物の画材だ。
さらに最後はフィキサチーフ(画材を定着させるスプレー)を吹いて完成、ってここまで本格派かい! クルマだけでなくデザイナー志望の子供さんが行っても面白いかもしれない。
トヨタ:月面探査機を目的地まで運ぼう!
プログラミングを楽しく学べる
最近では子供が簡単にプログラミングできるゲームや機械が脚光を浴びつつあるが、それを楽しめるのがトヨタブース。トヨタはJAXAと協業して2025年に月面探査機を走らせるプロジェクトを推進していて、今回のキッザニアでも「月面探査機を走らせよう!」というコーナーがある。
toio(トイオ)という簡単なプログラミングができる玩具を利用して、上手くプログラミングを組んで月面探査機を目的地まで運ぶというもの。プログラミング経験者からすると、こんなに楽しくプログラミングを勉強できるものがあるのか! と目からウロコ。
トヨタブースは他にもタイヤ交換や小さいレーシングカーを組み立てられるコーナーもあるので、是非お子さんの興味に合わせてチャレンジしてみてほしい。
日野:ユーザーを満足させるトラックをプロデュース
全ブースの中で私が一番興味を引かれたのは、日野自動車だ。広報さんいわく、「商用車メーカーというのは、単純にクルマを作るのではなく、そのクルマを使ってお仕事する人たちの要望に応えることが最も重要」とのこと。
それを伝えるために、子供たちはお客様の要望を聞いて、一からクルマを作る。たとえば、乳業だったら「液体が入るもの」、運搬業なら「なるべく揺れないで運びたい」「仮眠できるスペースがほしい」などなど。それらの要望に合わせた、シャシーとキャブ、ボディをそれぞれ選んで、クルマを組み立てる。
この模型もよくできていて、社内で作ったものだという。さらには最後にすべての項目にチェックを入れた発注書を作って、責任者にサインをもらって完了。単純に楽しく学べるだけではなく、クルマを使った仕事の大切さまで伝える姿勢に感動してしまった。
クルマの未来と子供たちを繋げる最良のコンテンツ
とにかく、東京モーターショーのコンテンツの中で私はこのキッザニアを一番に推したい。
上記では紹介しきれなかったが、ダイハツブースでは自分の手でコペンが組み立てられたり、マツダブースでは美しいデザインを実現するための磨き技術を体験できたり、とにかくどの自動車メーカーも“本物のクルマ”を子供たちに伝えようという気合が半端じゃない。
それぞれのメーカーの思いと、クルマの未来を子供たちへ託すことのできる素晴らしい場所なので、クルマ好きはもちろん、そうでない方も是非家族で訪れてみてほしい。
[筆者:伊藤 梓]