「最も感心させられる存在」!? セCS観戦の米記者、売り子の「エネルギー」に仰天

阪神・福留孝介【写真:荒川祐史】

日米ファンの違いを観察、今季限りで引退した巨人阿部の応援歌がお気に入りに

 米国の記者は日本のプロ野球をどのように見るのだろうか? 米スポーツ専門メディア「ジ・アスレチック」のアンドリュー・バガーリー氏が、東京ドームでの巨人VS阪神を観戦し、その様子をレポート。日米の野球の違いについて語っており、売り子の「エネルギー」に感嘆している。

 記事によると、バガーリー氏は10月11日に東京ドームで行われたセ・リーグCS第3戦の巨人VS阪神を観戦。はじめにチケットを購入したが、日本語表記しかなかったため、入場してから席を探すのに苦労したという。しかし、案内係の女性が片言の英語で、親切に席を案内してくれたおかげで、試合開始数分前に席に着くことができたと振り返っている。

 席に着いたバガーリー氏は、ここで日米のファンの違いに気づいたと言及。周りの観客が席に着いてからユニホームに着替える姿を目にし、「東京ドームまでの電車内で、(ドームに試合を観戦しに行く)野球ファンらしき人たちが見受けれらなかった理由を、私たちは理解し始めた。ファンたちは(東京ドームに)到着するまで、応援するチームのユニホームを身に着けないのだ」と指摘している。

 巨人と阪神のファンが混在するエリアに座ったバガーリー氏は、両ファンの違いについても観察。「ヨミウリとハンシンについて様々な違いが理解できた。ビジターのファンの方がより騒がしく、より熱狂的に見えた」。また、阪神はメガホンを叩き、巨人はタオルやスカーフを振る応援スタイルだったことにも触れ、「試合はまだ始まっていなかったものの、現場は既に大騒ぎだった。ハンシンが左翼席、ヨミウリは右翼席側に陣取った応援団はラインナップ紹介の際に流れる各選手用の応援歌を練習していた」と、応援歌を歌わないMLBとの違いにも言及。応援は面白く、今季限りで引退した巨人阿部の応援歌が1番気に入ったと綴った。

売り子の忙しさに驚嘆「彼女らはターボのごときスピードで仕事をしていた」

 そして、ビールの売り子たちの階段を上り下りを繰り返す忙しさには驚いたようだ。

「私たちが(席に)到着したときには、彼女ら(売り子たち)はターボのごときスピードで仕事をしていた。彼女らは5回(イニング)終わりまで動きを緩めることはなく、そんな彼女らを見ていると、この建物(東京ドーム)の中で“体を動かす”という意味で、彼女らこそが最も感心させられる存在だということに、私は完全に納得したのだった」

 バガーリー氏は、売り子が膝をぶつけて大きなアザを作っていた場面を目撃するも「そのせいで彼女がスローダウンすることはなかった」とレポート。そのプロ根性に思わず脱帽し「彼女たちのエネルギーはアメージングだった」と振り返っている。

 最後には、「私たちは元SFジャイアンツのピアース・ジョンソンが阪神のユニホームでプレーする姿を見る機会はなかった。しかし、元カブスのコウスケ・フクドメを見ることができたのは、特別な楽しみだった」と言及。2008年にメジャー挑戦し、カブスなどで5年間活躍した福留は印象に残っていたようだ。

 野球そのものだけでなく、ファンの観戦スタイルも異なる日米のプロ野球。普段はメジャーリーグを取材する記者にとって、新鮮な驚きが多かったようだ。(Full-Count編集部)

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