みんなどうやって結婚しているの?普及しつつある「SNS婚」のリアル

人々の価値観が多様化し、「結婚」をしない人生を歩む人も多くなっています。

恋人・パートナーがいなくても、自由に生きられればそれでいい。あるいは、ともに人生を歩む恋人・パートナーがいる人でも、結婚せず、お互いの生活を尊重し合って生きていきたい。

そのような結婚にこだわらないライフスタイルも「普通」になりつつあります。

他方、「結婚したい」と思っている人も少なくありません。でも、「自分に合う人にめぐり会えない」ために、独身でいる人が多いのが現状です。

そのような中、最近ではSNSを通じて出会って結婚する、いわゆる「SNS婚」が20代から40代で特に珍しいモノでなくなりつつあります。また、広義のSNS婚ともいえるスマートフォンのアプリケーションを通じた結婚紹介サービスも普及しています。

デジタルネイティブ世代に受け入れられつつあるSNS婚による新しい夫婦関係を探ります。


婚活の新しいカタチ―「SNS婚」普及の兆し

出会いに恵まれないために独身でいる人が多いという今の世の中、結婚した人はどのような出会いによって結婚したのでしょうか。

第一生命経済研究所が10月に発行したライフデザイン白書2020「人生100年時代の『幸せ戦略』」によれば、どの年代においても、勤務先など仕事を通じた出会いが最も多いです。20代、30代では、学校での出会いが2割前後と、他の年代よりも高くなっています。

もう一つ、若者世代の出会い方で注目したいのが、「インターネットの結婚紹介サービス(無料アプリを含む)」です。

実際には4~5%という数字ではありますが、最近、若者の間で急速に認知度が高まっており、数字以上に存在感がある印象です。結婚を目的としたマッチングアプリには様々な種類があります。友人や職場の同僚・先輩などから紹介されて「普通に」活用している若者も多いようです。

こうしたマッチングアプリによる婚活は、大勢のアプリ登録者中から「フィルタリング機能」を使って、価値観や趣味が似ている人を「効率よく」「確実に」探し出し、結婚相手の候補者を選ぶことができます。

そのため、自分に合う人とめぐり会う可能性も高くなります。「自分に合う人にめぐり会えない」「出会いがない」ために結婚できないという人が多い中、マッチングアプリは出会いの機会を提供する一つの有力なツールとして、デジタルネイティブ世代の間で広がりつつあるようです。

結婚相手との出会い

資料:第一生命経済研究所「人生100年時代の『幸せ戦略』―全国2万人調査からみえる多様なライフデザイン」東洋経済新報社2019年

SNS婚による新しい夫婦関係

相対的にSNS婚が多い30~40代に注目して、結婚相手との出会い別に夫婦関係の意識をみると、どのような出会いであれ、「夫婦関係に満足している」という人の割合は57%前後です。出会い方によって、夫婦関係の満足度に大差はないようです。

しかし、この他の項目をみると、SNS婚で出会った人の方が、仕事や家族・知人の紹介で結婚した人よりも、夫婦が一緒に過ごす時間を大切にし、家事を分担し、相談しあう人の割合が高いという結果でした。

出会いはネット空間であったとしても、いやネット空間だからこそ、結婚を現実のものとする過程でリアルなコミュニケーションを重ね、お互いをよく理解しあうことで、価値観を共有し、助け合う対等な夫婦関係を構築する人が多いようです。

30代・40代の夫婦関係(結婚相手との出会い別)

資料:第一生命経済研究所「人生100年時代の『幸せ戦略』―全国2万人調査からみえる多様なライフデザイン」東洋経済新報社2019年

SNSで広がった出会いの場

たとえ学校や職場で出会いに恵まれなかったとしても、インターネットによる結婚紹介サービスは、幅広い候補者の中から探すことができるので、自分に合った人にめぐり会えるのかもしれません。

価値観やライフスタイルに共感できる人を選択できるので、結婚後も、夫婦がそれぞれお互いを尊重しあい、自分らしく家庭生活を過ごせるのではないでしょうか。

生まれたときからインターネットが身近にあるデジタルネイティブ世代にとっては、結婚を考えるのもインターネットを通じてというのが、もはや当たり前のことなのでしょう。

これからは、多くの人が安心して利用できるよう、サービスの安全性を高める必要もありますが、婚活の有効なツールの一つとして広がるものと思われます。

最近では、AIを活用して結婚相手をマッチングするサービスも好評のようです。人がマッチングするよりも成婚率が高いようで、近い将来、結婚相手はAIに任せて、‟おみAI“の時代が来るのかもしれません。

© 株式会社マネーフォワード