自国開催が有利な理由 卓球界はチームワールドカップ東京大会控える

写真:2014年世界卓球東京大会での日本男子チーム/提供:ittfworld

現在開催中のラグビーワールドカップ2019日本大会。日本代表は史上初のベスト8進出を果たし、自国開催の大会でかつてない成果を残した。2015年大会で惜しくも8強入りを逃して以降、この大会に向けて長期間に渡ってチーム強化を進めてきた日本代表の努力が結実した結果となった。

自国開催のワールドカップといえば、サッカーも印象的だ。2002年のワールドカップ日韓大会、日本代表は史上初のグループリーグ突破を果たし、決勝トーナメントに進出した。

今回は、スポーツの世界大会を自国開催することの優位性について考えてみたい。

開催国が有利と言われる理由を考えてみた

スポーツの世界大会は世界各国で行われているが、開催ホスト国は有利だと言われることが多い。開催国が有利とされる理由を考えてみよう。

気候、会場への慣れ

写真:2014年世界卓球東京大会/提供:ittfworld

スポーツをするうえで気候や会場の環境というのは非常に重要だ。普段から慣れ親しんだ気候でプレーすることは選手のコンディション面で有利に働く。また、試合会場を知っているという点も大きい。

時差、移動がない

海外での大会の際は、飛行機での長時間移動が発生する。移動での疲労は勿論、現地に着いてからの時差との戦いもあり、コンディション調整が簡単ではないことが容易に想像できる。

加えて、慣れない国で長期間寝泊まりすることによる精神的な負荷もあるはずだ。対して開催国は、移動も時差も一切影響がない。いつもと同じ寝床で寝る生活のまま試合に臨むことができる選手もいるだろう。

開催国枠、グループ優遇措置の存在

大会によっては、開催国枠が設けられていたり、強豪国と同じグループには組み込まれないように工夫されていたりすることがある。

開催国枠での出場は、予選を経ずに出場できることに加え、場合によっては開催国のチームが複数出場することもありえる。グループ優遇措置はサッカーワールドカップなどでも採用されている仕組みとしてよく知られている。

観客の声援、会場の雰囲気

ホームのアドバンテージとして代表的なのが観客の声援と、会場の雰囲気だ。どんなチームも、観客の大半が自分たちを応援してくれていたり、自分たちのチームカラーに染まったスタンドから大声援がこだましていたりする光景に勇気づけられることだろう。

11月に東京でのチームワールドカップを控える卓球日本代表からも、自国開催を好意的に捉えるコメントがあった。

水谷隼は「約1万人近い観客の8~9割が自分たちの応援をしてくれる。その中で試合ができるというのは、選手にとって一番嬉しいしやりがいを感じる」と語り、石川佳純も「日本で戦う団体戦は、特別なものがある。自信を持ってプレーしたい」とコメントしている。

過去に日本で開催された卓球世界大会の結果は?

世界選手権やワールドカップをはじめ、これまで卓球でも数多くの大会が日本で開催されてきた。ホームの利を力に変えて結果を残した大会を振り返ってみよう。

2014年世界卓球団体選手権東京大会 男女日本代表

写真:左から2014年世界卓球での石垣優香、平野早矢香氏、石川佳純/撮影:長田洋平/アフロスポーツ

男女団体戦が行われたこの大会では、男子が銅メダル、女子が銀メダルを獲得した。女子団体で銀メダルを獲得したのは1983年の世界選手権以来となり、当時の開催地も東京だった。

卓球ジャパンオープン2013 塩野真人氏

写真:ジャパンオープンでの塩野真人氏/提供:ittfworld

卓球ワールドツアーの1つとして毎年開催されているジャパンオープン、ここで全くのノーマークから優勝した選手がいる。当時、東京アートに所属していた塩野真人氏だ。決勝で中国の徐晨皓(シューチェンハオ)を下し見事な優勝、本人も「まさかの優勝」と語る大きなサプライズとなった。

卓球ジャパンオープン2015 吉村真晴

写真:2015年ジャパンオープンでの吉村真晴/提供:ittfworld

神戸で開催された2015年のジャパンオープン、吉村真晴が大暴れした大会となった。吉村は韓国の鄭栄植(チョンヨンシンク)、朱世赫(チュセヒョク)を下し準決勝へ。準決勝の相手は中国の尚坤(シャンクン)。フルゲームの熱戦を制し決勝に進出した。決勝で許昕(シュシン)に敗れ準優勝となったものの、ワールドクラスの選手たちを相手に堂々とプレーする姿に大きな声援が送られた。

チームワールドカップ、そして五輪へと続く自国開催

写真:2014年世界卓球東京大会での日本男子チーム/提供:ittfworld

卓球日本代表は、11月にチームワールドカップ東京大会を控える。会場は、東京五輪と同じ東京体育館、試合形式も五輪同様に第1試合がダブルス、残り4試合がシングルスと、2020年東京五輪のテスト大会としても位置付けられている。

世界大会団体戦が日本で開催されるのは2014年の世界選手権東京大会以来、5年前の歓喜を超える活躍がみられるだろうか。2020年を迎えるといよいよ五輪イヤーだ。男女ともに戦力充実の日本代表が、地元東京で悲願の金メダルを手にしている姿を期待せずにはいられない。

文:石丸眼鏡

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