県内医薬品メーカー ニッチ分野で製品開発 

せきやたんを抑える「ピタスせきトローチ」

 県内の医薬品メーカーが、独自の製剤技術を生かした製品開発を強化している。大手メーカーに比べ資本力や人的資源が限られることから、あえて大手が進出していないニッチな分野を開拓。選択と集中を進めてシェアを向上させ、収益力を高めるのが狙いだ。人口減少など国内で市場環境が厳しさを増す中、各社は独自技術に活路を見いだしている。 

 東亜薬品(富山市三郷、中井敏郎社長)は、粉末吸入(DPI)製剤のぜんそく治療薬「シムビコート」の後発品を開発した。先発品の国内市場規模は約400億円あり、今後収益の柱になることが期待される。

 業界では、吸入機器の開発や製造コストの問題からシムビコート後発品への参入は困難との見方があったものの、同社は長年培ったDPI製剤の技術を生かして開発に成功した。

 強みとする口腔(こうくう)内フィルム剤の製剤技術を活用した製品を開発したのが、救急薬品工業(射水市戸破・小杉、稲田裕彦社長)だ。一般用医薬品の「ピタスせきトローチ」を市場投入した。

 薄い円形で舌の上にのせた後、口を閉じて上顎に貼り付けると、せきやたんを抑える有効成分がゆっくりと溶けるため、スムーズに会話できる。一般用医薬品は医療用と異なり薬価に左右されないため、同社は今後も新製品を開発し収益につなげる方針だ。

 池田模範堂(上市町神田、池田嘉津弘社長)は、看板ブランド「ムヒ」で磨いた外用剤のノウハウで新たな市場を開拓している。あせもとは異なる、汗が原因の肌トラブルを「汗かぶれ」と定義し、治療薬「アセムヒEX」を開発した。

 同社は薬用ハンドクリーム事業にも参入し、冬場のひび割れを予防する「ヒビケアプリベント」を発売。外用剤に特化することで主力の虫刺され薬に加えてラインアップを強化し、化粧品も含めた肌分野の総合ブランドを目指す。(経済部・池亀慶輔)

冬場のひび割れを予防する「ヒビケアプリベント」

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