車両損失、最大148億円 北陸新幹線浸水でJR東西

台風19号による大雨で水に漬かった新幹線の車両=13日、長野市赤沼

 台風19号による北陸新幹線の車両浸水被害で、JR東日本、西日本の両社は28日、それぞれ保有する車両を全て廃車とした場合、JR東は118億円、JR西は30億円の損失が生じる可能性があると明らかにした。

 両社は2019年9月中間決算の発表に伴い、取得額から減価償却費を差し引いた9月末時点の車両価格を示した。浸水した10編成のうちJR東は8編成、JR西は2編成を保有している。現地では点検作業が続いており、JR東は「廃車にするかどうかは未定」としている。

 台風によるJR東の売り上げへの影響額は10月だけで約120億円の減収となる見通し。首都圏在来線も含めた計画運休が約70億円、被災後の北陸新幹線などの一時不通が約50億円のマイナス要因となった。車両の損失や復旧費用、減収が来年3月末までの年間業績に与える影響は「算定は困難」として示さなかった。

 北陸新幹線全面復旧の時期についてJR東は「まだ具体的に言えない」とし、年末年始に向け、上越新幹線用の車両転用などを幅広く検討する方針を示した。赤石良治常務は「ご迷惑をおかけし申し訳ない。北陸新幹線のダイヤを戻すことに全力を挙げ、車両の生産前倒しや新規発注も含めて検討する」と述べた。

 北陸新幹線は台風で車両や設備が浸水し、東京-富山・金沢間が不通となった。25日から臨時便を除いて被災前より約1割少ない本数で直通運転を再開したが、ダイヤが元通りになるめどは立っていない。

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