無農薬ブドウでワイン 婦中の農園管理会社 生産本格化

「ヴァン・ナチュール」を手にする湊さん

■ニワトリのふん堆肥に

 富山市婦中町東山でブドウ園を管理する「オーガニックキッチン」(湊泰樹代表)は、農薬や化学肥料を使わずに栽培したブドウを使ったワイン「ヴァン・ナチュール」の生産を本格化させる。地域活性化を応援するクラウドファンディング「CFとやま」を活用し、設備資金を募っている。(八尾・婦中支局長 藤木優里)

 湊代表は東京と富山で住宅や飲食店などのデザイン、設計を手掛ける。仕事を通して、富山市婦中町東山にある「林ぶどう園」が後継者を探していることを知り、サポートを始めた。

 同園がある音川地域では約50年前にブドウ栽培が始まった。近年は生産者の高齢化が進み、夏の高温多湿化によって生産量も減少し、深刻な課題になっている。

 同園は、約1.5ヘクタールの敷地で当初から変わらず、昔ながらの酸味や甘さが強い巨峰を栽培する。湊代表は生産者にとって重労働となる農薬散布や除草作業を軽減できないかと、敷地内でニワトリ約400羽とヤギ、ヒツジ計20頭を放し飼いにしている。動物たちが雑草を食べ、排出したふんを堆肥にすることで、除草剤や化学肥料を使わずに栽培することが可能になった。湊さんは「動物たちやスタッフと一緒に作り上げている」と言う。

 現在、ワインは販売後に余ったブドウのみで生産している。CFとやまを通して集まった支援金でビニールハウス1棟を新設できれば、ワイン約300本の増産が可能という。

 クラウドファンディングの募集は12月6日までで、目標金額は100万円。ワイン専用のブドウのビニールハウスや堆肥舎などの設備資金に充てる。

 達成した場合は支援者にワインなどを贈る。湊代表は「取り組みを通して、音川地域の活性化につなげていきたい」と話している。

林ぶどう園で放し飼いにしているニワトリとヒツジ

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