『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』 3時間近い上映時間が、私たちを登場人物に限りなく近づける

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 ホラーの鬼才、スティーヴン・キングによって1986年に発表された小説「IT」をアンディ・ムスキエティ監督が映画化した第1作目から2年。ついにその後編が公開されます。

 前作は、町の子供たちを襲う殺人ピエロのペニーワイズと、学校のいじめられっ子軍団<ルーザーズ(負け犬)・クラブ>との戦いが描かれ、ただ怖いというだけではなく、十代の頃の繊細な考え方や友情、そして淡い初恋を描いたストーリーが大好評となって大ヒット。だからこそ、完結編となる本作へのファンからの期待度は半端ではなかったと思います。

 舞台は、前作から27年後。町でまたも子供たちが消えていく失踪事件が発生し、大人になった彼らの元に不穏なメッセージが届きます。大人になったビル役にM・ナイト・シャマラン監督の『スプリット』で多重人格者を熱演したジェームズ・マカヴォイ、ベバリー役にジェシカ・チャステインというベテラン揃い。その中でも最高にいい演技を見せているのがリッチー役のビル・ヘイダーです。全米ではコメディアンとして知られているのですが、この映画では抑えた演技で人間の心の底に隠れた恐怖との対峙、そしてそれを乗り越える姿を見せてくれています。

 3時間近い長丁場ではありますが、決してビルだけが主人公ではなく、リッチーのように周りのキャラクター一人一人にきちんとストーリーがあるからこそ、宿敵ペニーワイズとの最後の死闘は手に汗握って全員を応援してしまいました! ★★★★☆(森田真帆)

監督:アンディ・ムスキエティ

出演:ジェームズ・マカヴォイ、ジェシカ・チャステイン、ビル・スカルスガルド

11月1日(金)から全国公開

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