ヒカキンさん、自宅マンションから「YouTube」投稿できなくなるってホント?

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ヒカキンさん(2018年、Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

人気YouTuber・HIKAKIN(ヒカキン)さんの動画が今後、見られなくなってしまう?そんな心配をしてしまう記事が「女性セブン」(10月31日号)に掲載された。

記事を転載した「NEWSポストセブン」によれば、ヒカキンさんが住んでいるとされるマンションに、「SNS・YouTube投稿禁止」の張り紙が掲示されたという。張り紙には「防犯面の観点から、SNSやYouTube等へマンションの外観・共用部分のみならず、専有部分であっても、画像・動画を安易に投稿・掲載しないようお願いいたします」とあったそうだ。

ヒカキンさんはマンションに「住居用と動画編集用」として2つの住居を借りており、マンション内からYouTubeで発信を重ねてきた。しかし、ファンがマンションを特定してしまい、他の住民への影響があることから掲示された経緯があるという。

なお、同誌の取材に対して、事務所側は掲示を否定している。

共有部分であれば制限を受けることは仕方がないとしても、専有部分の部屋であっても画像や動画の投稿を制限することは可能なのか。中西祐一弁護士に聞いた。

●差止請求は認められるのか

ーー画像・動画の投稿を制限するための法的な手段はあるのでしょうか

画像・動画の掲載・投稿など、一定の行為を禁止することを、法律上は「差止め」といいます。

今回のような事例では、(1)ヒカキンさんのファンが大勢押し寄せることによって、他の住民が自分の専有部分を利用できなくなることを理由とする所有権に基づく差止請求、(2)騒音等によって平穏な生活が害されたり、プライバシーが侵害されることを理由とする人格権に基づく差止請求、といった理論構成が考えられます。

ーー(1)の差止請求は具体的にどのような事情があれば認められますか

(1)の差止請求は、「マンションの専有部分が十分に利用できない」といった事情が必要になってきますので、マンションの利用上、かなり大きな問題が生じているか、生じる可能性が極めて高い状況にあることが必要です。

ーー(2)の差止請求についてはどうでしょうか

(2)の差止請求についても、漠然とした不安や不快感だけでは足りず、社会通念上がまんできる程度(受忍限度)を超えるような人格権の侵害が必要です。

少なくとも、時々ファンと思われる方がマンションの周辺にいる、という程度では、差止めは認められないと思われます。

ーーどちらの差止請求もハードルが高そうです

いずれの差止請求にしても、専有部分での撮影・投稿の禁止が認められる可能性はありますが、かなり重大な生活上の支障がなければならず、今回の事例で認められる可能性は非常に低いと思われます。

【取材協力弁護士】
中西 祐一(なかにし・ゆういち)弁護士
金沢弁護士会所属。地元の方々の身近なトラブルの解決を目指し、民事・刑事を問わず幅広い分野の案件を取り扱っているが、その中でも、刑事事件には特に力を入れており、裁判員裁判や冤罪事件の国家賠償請求事件などにも積極的に関わっている。
事務所名:中西祐一法律事務所
事務所URL:http://www.nakanishi-law.net