上原ひろみ『Spectrum』 無限のイマジネーションを広げる極上のメロディ

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上原ひろみ『Spectrum』

 2009年の『プレイス・トゥ・ビー』以来のソロ・ピアノ・アルバムです。完璧とも言えるテクニックで心模様をそのまま音で表現、聴く者の心に無限のイマジネーションを広げます。今作のコンセプトを彼女は色彩としていますが、この数年のアンソニー・ジャクソン(b)とサイモン・フィリップス(ds)によるトリオでの演奏でも、色彩感豊かな音のバトルを聴かせてくれていました。

 さて10年ぶりのソロ・ピアノですが若いパワーがみなぎっていた前作に比べてよい意味で大人の余裕を感じさせる親しみやすい作品になっています。コラボ作品以外ではあまり聴くことができなかったカヴァー曲も理由の一つ。ビートルズの「ブラックバード」そしてガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」を選曲、「ラプソディ~」では“ブルー”つながりでさらにジョン・コルトレーンの「ブルー・トレイン」、ザ・フーの「ビハインド・ブルー・アイズ」のフレーズを織り込み22分46秒の大作に仕上げています。

(ユニバーサル・初回限定2枚組3300円+税、通常版2600円+税)=北澤孝