十八親和銀行「店舗内店舗方式」を採用 口座番号などは変更なし

統合(移転)対象の店舗

 来年10月に合併し「十八親和銀行」になる十八銀行(長崎市)と親和銀行(佐世保市)は「利用者の利便性を大きく損なわない」ように店舗をあえて廃止せず、複数店舗が同じ建物内で共同営業する「店舗内店舗方式」を採用した。
 同方式では、統合・移転に伴う口座番号などの変更はなく、金融業界における店舗集約手段で主流となっている。
 長崎市中心部の十八銀思案橋支店は、道を挟んで並ぶ親和銀浜町支店の店舗内に移る。店舗の広さはほぼ同じで、張り合うようにどちらも2015年にリニューアルした。取引先の数や金額は思案橋支店が大きいが、1階に窓口がある浜町支店の方が来店者にとって利便性が高いと判断した。
 空き店舗となる思案橋支店について、ある十八銀幹部は「象徴的な店舗だけに、地域に役立つ活用を検討したい」。近くに店舗を構える十八銀の取引先経営者は「地元企業の支援拠点がいいのでは」と求める。
 統合する支店が同じ名称の場合、規模が小さい方に原則として「中央」を追加表記する。例えば、十八銀波佐見支店は「十八親和銀行波佐見中央支店」と改称し、親和銀波佐見支店の店舗内に併存する。ただし支店長は1人になり、行員は両支店の業務を兼務。窓口も一緒になる。
 両行と取引がある東彼波佐見町折敷瀬郷の造園会社に勤める山口静子さん(69)は「一つの店舗に二つの支店が入るのは何となく違和感がある。行員が来てくれる頻度など統合後にサービスがどうなるかが気になる」と行方を注視する。
 南島原市の十八銀北有馬出張所は4.1キロ離れた十八銀有馬支店内に移転する。同出張所前で食料品店を営む林田実恵治さん(63)は「車で往復約20分かけて両替や振り込みに行かなければならなくなる。車を持たないお年寄りはもっと困るはず。過疎化に拍車が掛からないといいが…」と気をもむ。
 離島の店舗統合は距離が近い4カ所に限られた。新上五島町青方郷の農業、前田惠司さん(64)は「付き合いで両行の口座を持っており、これからは行ったり来たりせずに済む」と歓迎。空き店舗については「島の工芸品を製造したり売ったりする場になれば」と期した。

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