座間9人殺害 白石被告、取材面会応じる一方で現金要求も~事件から2年

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ニッポン放送「ザ・フォーカス」(10月29日放送)に元外務省主任分析官・作家の佐藤優が出演。座間殺人事件で公判前整理手続き中の白石被告の現況について解説した。

男女9人の遺体がアパートから見つかった事件で東京地検立川支部から警視庁高尾署に移送された白石隆浩被告(※当時 容疑者)=2017年11月1日、東京都八王子市 写真提供:時事通信社

座間9人殺害事件、白石被告面会に応じる

神奈川県座間市で男女9人が殺害された事件は30日で発覚から2年を迎える。強盗・強制性交殺人罪などで起訴された白石隆浩被告は28日までに面会に応じ、自分の人生について「後悔しています。もっと美味いものを食って、女の子と遊び、ゲームもしたかった」と語る一方で、いまだに被害者への謝罪や反省の言葉はない。

森田耕次解説委員)この座間9人殺害事件というのは一昨年2017年の10月、行方不明の女性を捜索していた警視庁の捜査員が神奈川県座間市のアパートの一室でクーラーボックスなどに入った9人の切断遺体を発見したもので、住人の白石隆浩被告29歳が殺人容疑などで逮捕されました。強盗・強制性交殺人と強盗殺人、死体損壊・遺棄の罪で起訴されています。被害者は自殺願望を書き込んだツイッターなどを通じて知り合った当時15歳から26歳の女性が8人、男性が1人で、現在は東京地裁の立川支部で公判前整理手続きが進んでいるのですが、白石被告が事件発覚から2年を前に面会に応じておりまして、自分の人生について「後悔しています」と言う一方で「もっと美味いものを食って、女の子と遊び、ゲームもしたかった」と語っています。記者が面会で詳細について質問すると、「そこからは有料になります」と現金を要求しているということで、面会した報道各社に対して食品などを買うために同じような条件を提示しているということです。現在は立川拘置所にいるのですが、漫画を読んだり腕立て伏せなどの筋力トレーニングをして過ごしているということです。「毎日飯を食って体を鍛えて、眠って飯を食って、新しい情報が入ってこないと過去をぐるぐる回っている感じになる」「自分の人生は大失敗。本音で言えば後悔しています」とは言っているのですが、その理由に食事や女性との交際を挙げているということですね。

佐藤)私自身も拘置所に入っていましたし、刑事被告人としてその後裁判で有罪になったのですが、ルールとして裁判によって刑が確定するまでは無罪推定の原則が働くということです。ですから、言葉を選んで発言しなければいけないのですが、それを踏まえてもこれは、とんでもないことだと思います。それから、拘置所はこの時間帯(夜8時台)はラジオがかかっている時間なのです。可能性によってはこの番組をこの人が聞いているかもしれません。ふざけるな、と言いたい。自分が劇場に出てきた俳優か何かを気取って演じていますよね。世の中はそんなに甘くないのだということを厳しく伝えなければいけないので、報道を見ていてもストレートにこれを報じていいのかどうか。“ストレートニュース”ではなくて、こんな酷いことをやっている人がいるのだ、ということを新聞社や通信社が価値観も付けて報じるべきだと思います。特に本来は金品や物を要求する取材というのは、その瞬間取材として成立しないのです。ニュースとして成り立たないのです。動機自体が金や物の場合、その発言内容自体の信ぴょう性が問われるからです。それも含めてこれはもっと厳しく扱うべきです。それと同時に明らかにカウンセラー的な知識を経験から覚えてきて、それを悪用していますよね。

事件現場となったアパート(撮影:ニッポン放送 報道部)

カウンセリング手段を悪用した犯行手口

森田)自殺願望の投稿に対して、まずは直接連絡を取り合うように誘導していって、「死にたい人を手伝っている」「首吊りが確実になる」と送る一方で「まだ死ぬときではなさそうですね」と急がせないで、「本気なら手伝いますよ」という投稿をしながら自殺したい人の興味を引いて、気持ちを穏やかに聞いて信頼を得ながら、死に惹かれる気持ちを微妙に後押ししているという、まさにカウンセリングのような手法ですね。

佐藤)その目的というのがセックスと金を奪取するというものですから、とんでもない話です。

森田)過去に女性を風俗店に紹介するスカウトをしていたことを活用したという報道もあります。

佐藤)それ自体も限りなく人身売買に近いことですからね。反社会性が非常に高いということなのですよ。昔、永山則夫という人が1審で死刑になって2審で無期懲役になって、最高裁で再び死刑になりました。そのときの永山基準というものがあって、日本の裁判では、3人以上殺害している場合には死刑になるという、この基準は動いていないのです。そうすると、その先例に照らして考えた場合、今回の件は極刑が想定される事案なのですよ。そうなると、刑事裁判に必要な範囲で立証するというのが検察の仕事ですから、その人の心理的な動機やどういう手口だったのかという細かいところは二次的になってしまうのですよ。これは裁判とは別に心理学者、犯罪学の専門家、そしてテロ対策の専門家も必要です。なぜかというと、ISのテロの場合には自殺願望のある人を巧みに誘導して自爆テロに向かわせているのです。ですから、そういった専門家たちが集まって、手口、動機、被害者の心理状態を詳細に調べて再発防止に活かして欲しいです。

森田)こういった人たちはテロに導かれてしまう可能性もありますから、専門的なカウンセラーの育成も必要になります。

佐藤)それから、この種のふざけた態度の取材に対しては現場の記者たちも『あなた何を言ってるんですか』と対峙して……そうすると取材が取れなくなるかもしれないが、それ以前に人間としての基本的な価値観で対処して、甘やかさないで欲しいです。

森田)白石被告の公判前整理手続き、年度内は手続きが続くと見られていて、初公判の見通しは立っていない状況です。

ザ・フォーカス
FM93AM1242ニッポン放送 月-木 18:00-20:20