閉架100万冊 職員に相談を ミライon図書館 読み聞かせ、イベント多彩

必要な資料に関する相談や利用登録を受け付ける3階のカウンター=大村市、ミライon図書館

 大村市東本町の県立・大村市立一体型図書館「ミライon図書館」は5日の開館以来、休日を中心に多くの利用者でにぎわっている。今後は本の読み聞かせや講演会などにも力を入れ、本に関わる内容にとどまらず、多彩な形での発信や啓発を目指すとしている。開館を機に、新施設の利用に関する基本的な情報や、新たな取り組みについてまとめた。

 ■HPで仮登録
 資料貸し出しには「利用カード」が必要。旧県立長崎図書館のカードは利用できず、本人が直接訪れて新規作成する。発行は無料。3階カウンターに身分証明書を持参するが、現在は希望者が多く作成に時間がかかることがある。来館前にホームページ(HP)から仮登録申請をしておくとスムーズ。
 貸し出しは最大50点まで、期間は22日間。期間内に返却し、次の予約がなければ再貸し出しができる。資料の受け取り、返却は同館のほか大村市内の分室や、県立長崎図書館郷土課(長崎市の県立鳴滝高なるたき図書館内)でも可能。
 ミライon図書館によると、利用者が戸惑いがちなのが閉架資料の閲覧や貸し出し。現在の収蔵125万冊のうち、利用者が直接探せる本棚(開架)には25万冊があるが、これに対し閉架は4倍の100万冊に上る。古い資料や雑誌のバックナンバーは保存のため閉架にあることが多い。資料はHPや館内のデータベースで検索でき、職員に相談して探すこともできる。
 県立長崎図書館企画・広域支援課の高田明子係長は「利用できないと思っていたり、(閉架から)出してもらうのが気の毒と感じたりする人もいるようだ。遠慮なく相談してほしい」と呼び掛けている。
 このほか、障害者向けの郵送貸し出しや対面朗読、高齢者ら向けの有料配送サービスがある。大村市以外の市町図書館を通じてミライon図書館の資料を利用、返却することもできる。

 ■「こどもしつ」
 児童書をそろえた1階「こどもしつ」は新施設の目玉の一つ。一角にある読み聞かせ専用の「おはなしのへや」では11月から、本の読み聞かせを行う「おはなし会」がスタートする。毎週土、日曜のほか平日にも一部開催。日曜は午前11時~11時半と午後2時~2時半の2回(11月3日は午前だけ)、土曜や平日は午前の1回。
 おはなし会では同館職員のほか、ボランティアの個人や団体も読み聞かせを担当する。個人は開館前に公募し、研修を経て27人が登録。団体は「旧県立長崎図書館読み聞かせの会」(長崎市)など既存の6団体。男性だけの「えほん侍」(大村市)、高校生でつくる「高校生のおはなしびっくり箱」(同)なども加わっている。
 担当司書の大道智子さんは「ボランティアがたくさん参加しており、それぞれに特色がある」とPR。

 ■企業説明会も
 館内のホールや研修室を使った講演会、イベントなども積極的に展開。▽医療▽ビジネス▽子育て-の各分野に特に力を入れる。
 医療については、大村市主催の「世界糖尿病デーイベント」(11月14日)、県県央保健所などによる「ギャンブル等依存症県民セミナー」(同16日)を予定。脈拍、血圧などのチェックや健康相談ができる「まちの保健室」(偶数月の第3土曜)も実施していく。
 ビジネス関連は、県総合就業支援センター(長崎市)との連携で11月22日、県内6社が出展して合同企業説明会を開く。「面接に役立つ伝え方」のセミナー(定員20人)を併催。同センター(電095.842.5424)。
 子育て分野では12月15日、障害児の読書支援などを考える「読書バリアフリー研究会」(伊藤忠記念財団主催)がある。参加は事前申し込みが必要。同財団(電03.3497.2652)。
 高田係長は「専門機関と連携して、本になる前の最新情報の発信にも力を入れたい」としている。
 問い合わせはミライon図書館(電0957.48.7700)。

◎ミライon図書館

 県立長崎図書館・大村市立図書館の愛称。両図書館を施設区分のない一体型で整備し、両方の職員が一緒に勤務、運営している。6階建て、延べ床面積約1万3300平方メートル。1階に「こどもしつ」や併設の大村市歴史資料館、3階に開架・閲覧スペース、4階に閲覧スペースなど。カフェや多目的ホール、研修室なども備える。開館時間は火-金曜午前10時~午後8時、土、日曜・祝日は午後6時まで。毎週月曜(祝日の場合は翌日)休館。

年代物の雑誌などを保存している閉架書庫
親子連れなどの利用者でにぎわう「こどもしつ」

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