江戸後期に日蘭“仮装パーティー交流” 「長崎屋宴会図」初公開 11月から神田外語大図書館

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「長崎屋宴会図」 桂川甫賢筆 神田外語大学付属図書館蔵

 千葉市美浜区の神田外語大学付属図書館で、1日から企画展「長崎屋の二階-シーボルト以前の蘭学開花-」が始まり、今年2月にオランダで発見された水彩画「長崎屋宴会図」(縦32センチ、横42.5センチ)が初公開される。江戸後期に長崎・出島のオランダ商館長一行と日本人蘭学者が、商館長一行の江戸滞在時の定宿「長崎屋」で“仮装パーティー”を楽しむ様子が描かれており、江戸期の日欧文化交流史の一級史料として注目されている。

 同大学によると、江戸の長崎屋(現・東京都中央区日本橋室町4の2付近)は、オランダ商館長一行が将軍拝礼のため江戸に滞在する際の定宿。18世紀後半、蘭学者の平賀源内や杉田玄白、前野良沢らも訪れ、日蘭学術文化交流の拠点だった。

 今回見つかった水彩画は余白に記されていた説明文などから、将軍家侍医で蘭学者の桂川甫賢が1822(文政5)年4月18日に長崎屋の2階広間で催された仮装パーティーを描いたことが分かるという。桂川自身も宴会に加わっていた。

 絵の中では、和服を着た商館長らが座布団に座り、オランダの服と帽子姿の桂川ら日本人蘭学者3人が上座でいすに腰掛けるなどしている。長崎屋の主人や接待役の日本人女性らも登場している。これまで長崎屋や滞在中の商館長を描いた絵画は、見物に押し掛けた江戸庶民を取り上げた葛飾北斎の図しか知られていなかった。

 水彩画を調査した同大学日本研究所の松田清客員教授は「長崎屋の内部をこれほど精密に、しかも華やかに描いた絵が見つかるのは初めて。蘭学者たちの語学力が高まり、オランダ人とオランダ語で交流する有様を伝える一級の画像資料。日欧の画法を融合させた優れた美術作品でもあり、江戸の服飾やおもてなしの資料としても貴重」とコメントした。

 企画展(午前10時~午後4時)は14日まで。「長崎屋宴会図」の他、シーボルトの自筆書簡などを公開。11日からは葛飾北斎の「日本橋長崎屋」図(帰雲蔵)も展示する。14日午後4時半からは松田客員教授の講演会が開かれる。企画展、講演会とも無料。問い合わせは同大学図書館(電話)043(273)1192。